北海道新幹線開業に向け、ソフト・ハードで進む沿線自治体の準備 画像 北海道新幹線開業に向け、ソフト・ハードで進む沿線自治体の準備

インバウンド・地域活性

 2016年3月、北海道で初めて新幹線が開業する。開通するのは北海道新幹線新青森~札幌区間のうち、新青森~新函館北斗の約149キロ区間。北海道と本州を結ぶ、新たな移動手段の誕生には、道外からの観光客の誘致で活性化を図りたいと考える道内の地方が期待を寄せる。道内各地ではこの効果を新幹線駅周辺にとどめず、全道に波及させるための2次交通整備や、観光客を呼び込む環境整備など、ハードとソフトの両面での取り組みが進んでいる。

  ◇開業効果発揮へ準備進む◇

 北海道新幹線は、東北新幹線の新青森駅と札幌駅を結ぶ延長約360キロの鉄道路線で、総事業費2兆2200億円を投入する北海道の一大プロジェクト。国内最初の新幹線である東海道新幹線の開業から9年後の1973年に北海道新幹線の整備計画が決定し、43年を経て来春、一部区間が開通する運びとなった。

 残りの新函館北斗~札幌間の延長は、これまでの新幹線整備区間で最長となる約211キロで、延長約26キロの渡島トンネルなど、トンネル区間が約160キロと76%を占める。当初の計画では、新函館北斗~札幌間は2035年度の開業を予定していたが、今年1月に5年前倒しして30年度に開業することが決定した。

 北海道新幹線の開業には、東北~北海道間の交通利便性の向上や、それによる観光客の誘致、ビジネス交流の活性化など、地方の活性化に資するさまざまな効果が期待されている。

 JR東日本やJR北海道の試算によると、開業による時間短縮効果が最も大きいのは新青森~新函館北斗間で、所要時間が2時間から1時間に短縮される。東京駅までの所要時間も、5時間30分から4時間に短縮。また、30年度に開業する新函館北斗~札幌区間はこれまでの3分の1の1の時間となり、道外からだけでなく道内の交通利便性も格段に向上する見込みだ。

 時間短縮による経済効果にも期待がかかる。日本政策投資銀行が14年10月に発表した道内への経済波及効果リポートは、16年3月の開業後、関東や東北など他地域との交流拡大により流入人口が増加することで、宿泊費や飲食費などによる経済波及効果は年間136億円に上るとの試算を示している。

 道内では、これらの効果を最大限に発揮するため、開業に向けた準備が進行している。北海道は12年、新幹線の開業による効果を最大限に発揮するための取り組みを盛り込んだ「カウントダウン・プログラム」をまとめた。新幹線の開業を迎えるに当たり、「地域間連携の拡大」など三つの重点戦略を掲げ、広域観光の推進や地域経済の活性化に取り組むとした。具体的な内容として、新幹線駅と主要都市・観光地のアクセス向上や、北海道・東北地域の観光資源を活用した「北日本広域観光ルート」の形成などを盛り込んだ。

 北海道開発局では、新幹線駅から道内各地への移動を促す2次交通の整備や、外国人観光客などを呼び込むための観光推進施策に取り組んでいる。

 2次交通の整備では、新函館北斗駅から函館市街方面、道央方面、木古内方面へと向かうそれぞれの道路を整備したり、道路を4車線化したりなどしてアクセス性の向上を図る。函館インターチェンジ(IC)から函館空港ICまでの10キロを結ぶ函館新外環状道路は、20年度に開通する見込みだ。

 観光推進施策では、道路標識や看板などを多言語化する取り組みを進めており、外国人観光客のリピーター化を目指す。地域の特産物などを販売する「道の駅」の整備も支援。新函館北斗駅近傍で七飯町が計画する道の駅(仮称)「男爵いもパーク」は17年度に開業する予定だ。道南地域の観光情報や交通情報を提供する機能も備えており、新幹線駅を起点とした周遊観光を促すことで、より広域的な開業効果の波及を図る。

日刊建設工業新聞

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