山村に都会並みの教育、東大生講師のオンライン塾、徳島県上勝町 画像 山村に都会並みの教育、東大生講師のオンライン塾、徳島県上勝町

インバウンド・地域活性

 つまもの用の"葉っぱビジネス"を手掛ける徳島県上勝町で、都会に負けない教育環境をつくろうと子育て中の母親、滑川里香さん(43)が塾を立ち上げた。その名は「東大塾」。東京大学や同大学院の学生が講師を務めるインターネットを活用した学習塾で、画面越しに顔を合わせて授業を展開、分からないところがあればその場で質問もできる。農村部での教育を充実させることで、子育て世帯の流出を防ぐのが狙いだ。

・現役学生が“画面”指導 子育て世代流出を防止

 滑川さんは自然に囲まれた田舎で、のびのびと子育てをしたいと2003年、徳島市から生後1カ月の長男と共に家族で上勝町に移住した。

 だが、いざ移住してみると教育への不安が募った。人口2000人、高齢化率50%(当時)と子どもの少ない同町には塾がなく、徳島市内の塾に通うためには車で片道1時間以上掛かった。

 以前は高校進学と同時に子どもだけが町外に出ることがほとんどだったが、今では高校受験のために、小学校卒業を機に都市部へ引っ越す世帯が増えた。14年春には、同町の小学校を卒業した生徒12人のうち、4人が受験を意識し町を去った。

 そうした状況に、子ども2人を抱える滑川さんは「このままだと子育て世帯が地域に定着せず、人がいなくなる」と危機感を抱いた。

 以来、同町で塾を運営しようと思い立ち、「インターネットを使えば、都市と同じ条件で授業ができる」と考えた。

 子どもを教える講師選びは、滑川さんが、葉っぱビジネスに取り組む(株)いろどりで働いていた時の人脈を生かして東京大学の学生らを講師に獲得。昨年、東大塾を設立した。

 塾は、町の公共施設を利用。毎週月曜日に小学校4~6年生を対象に算数の授業を開く。50インチのテレビモニターにインターネットをつなぎ、東京大学、同大学院の学生が授業をする。

 講師と生徒が画面越しに、意見を交わしながら授業を進められるのが特徴だ。1こま1時間半で21人が通う。上勝町の子どもが中心だが、いまや評判を聞いて、隣の勝浦町から授業を受けに来る児童もいるほど。

 東大生には定額の謝礼金を支払い、児童数と照らし合わせて月謝を設定する。児童の一人は「塾が遠くて行きたくても行けなかった。町を出なくても勉強できるのでうれしい」と喜ぶ。

 成果は着実に出てきた。全国統一模試で塾に通う児童が徳島県1位になり、今後は中学生向けの開講も視野に入れる。「子どもの教育は親にとって最大の関心事。都市と同レベルの教育環境を整えることで、人が定着する町をつくりたい」と滑川さんは意気込む。(吉本理子)

山村で本物「東大塾」 ネット使い都会並みの教育環境に 徳島県上勝町

《日本農業新聞「e農net」》

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