地域の担い手確保・育成~連携ネットワーク・群馬・沼田編・下/研修生自ら商品開発 画像 地域の担い手確保・育成~連携ネットワーク・群馬・沼田編・下/研修生自ら商品開発

人材

 ◇起業家意識醸成、雇用創出も狙い
 廃校(旧利根村立南郷小学校)跡を利用する「利根沼田テクノアカデミー」で来春始まる建設職人の育成。屋外での実技指導が8~9割を占めるが、校舎を改修した建物内での座学にも力を入れる。座学のやり方はeラーニング。映像教材で一通りの授業を受けた後、分からないことがあればスマートフォンで復習できるようにする。
 自社の教育訓練校で職人育成を手掛けてきたテクノアウターの桑原敏彦会長は、eラーニングを取り入れる狙いを「統一的に学べるようにするため」と語る。建設職人として働く若者たちが最低限覚えておくべき知識を確実に習得できるよう、「ぶれ」のない教育環境を提供する。
 アカデミーの活動開始に向けて採択された国土交通省の「地域建設産業活性化支援事業」の中でも、eラーニングのコンテンツ開発に取り組むことにしている。外国人技能実習生などを想定し、将来は多言語にも対応できるようにする考えだ。
 板金と瓦の2職種からスタートする短期実践コースでは、実技と座学を織り交ぜながら、即戦力として現場に送り込める人材育成を目指すが、もう一つ大きな目的がある。キーワードは「起業力」。研修を受ける若い人材が「ものづくり」について自ら調査研究し、地域で起業するというものだ。
 少子化に伴う生産年齢人口の減少によって、少ない人員でも効率的に施工する方法を考えることはこれからの建設産業では不可欠。3カ月の研修の中で、参加者にいかに施工を省力化できるかを「最初の段階から考える癖を付けてもらいたい」と桑原氏は語る。
 研修生が考案した開発商品を大学教授や企業経営者に審査してもらい、事業性のあるものは「夢ファクトリー」と呼ぶ工場で製造し市場に売り込む。こうした取り組みが沼田の雇用につながり、研修生たちの起業家意識を醸成することにも役立つ。各職種の研修で材料を提供してくれる支援メーカーの製品作りにフィードバックしていく狙いもある。
 テクノアウターの訓練校の研修で考案されたものの中にも、実際に商品化され、特許申請に至った事例がある。沼田市が実践するベンチャー育成支援の「ぬまた起業塾」とも同じ志を持つ取り組みとなる。
 入職した若者を対象にした3カ月の短期実践コースと今後具体化を図る多能工育成の長期実践コースを柱とする利根沼田アカデミーの取り組みではそのほか、中堅社員の再教育や1カ月程度を想定したCAD研修などの教育も行う予定だ。
 夏場や秋口など、南郷地区の自然を楽しめる時期には、地域で催されるイベントなどに利用してもらうことを含め、通年で施設の稼働率を高められるよう工夫する。
 「建設職人のまち」を志向する取り組みをきっかけに、沼田市と合併した旧利根村の活性化にも建設産業が一役買う。国交省もそうした取り組みに着目し、「沼田モデル」を支援しながら、全国への展開に大きな期待を寄せる。(編集部・岩本英司)
《日刊建設工業新聞》

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