【建設業「命」の現場で7】第2章 住まいに明かりを/降り掛かる条件変更 画像 【建設業「命」の現場で7】第2章 住まいに明かりを/降り掛かる条件変更

インバウンド・地域活性

 東日本大震災の被災地では、被災者に1日でも早く住まいを届けようと奮闘が続く。宮城県女川町から、その一端を見ていく。
 CM(コンストラクション・マネジメント)方式で一体的に基盤整備を進めている。JR女川駅などがある中心部から点在する離半島部まで、広大な範囲の設計・施工を鹿島・オオバJVが手掛ける。
 町中心部から宮城県第2の都市、石巻市方面へと向かった先にある「鷲神浜わしのかみはま工区」では今、大規模な盛り土工事が進行中だ。総盛り土量は約170万立方メートル。うち約95万立方メートルは、北側の堀切山からの掘削土で賄う。盛り土の供給地が隣接しているため大型重機が利用可能で、有利な条件といえる。鹿島JVは、早期に完了が見込める堀切山側から作業する方が得策と判断。その前提で施工計画を立てた。
 今回の工事では、道路や上・下水道など約30項目に事業費が分かれており、それぞれ管理者が異なり協議が必要となる。電気や電話といったインフラも張り巡らされており、止めることなく盛り替えなければならない。工区内を走る主要幹線道路、国道398号の通行を維持する必要もある。作業手順や予算面の制約などを一つ一つクリアしながら、関係事業者と協議を重ね、実現可能なプランを編み出した。
 ところが、堀切山の掘削に着手するはずだった昨年12月になって、用地交渉などの影響で現場に入る時期が約9カ月遅れることが判明した。全体工期を考えると、何もせずに待っていることはできない。鹿島JVは、南側の方から盛り土工事を行う方針に転換。ようやく完成させたパズルをいったん崩し、組み立て直すことになる。堀切山の掘削土砂は当面使えないため、切り土を行う別の工区から土を運んでくる必要がある。ただ、土の搬出入は工事全体に絡み合う話で、一つの条件変更が玉突き式にすべてに連鎖する。施工を担う人員や資機材も同様だ。
 予算の壁もある。例えば、道路工事の計画変更の影響で水道の切り回しが必要になった場合、災害復旧事業費からは充当できないケースも生じる。そうなれば、施工の工夫などで全体コストを抑制するといった対応を考えなければならない。
 計画変更は、ほかのインフラ事業者にも影響が及ぶ。架空線などの盛り替え手順や作業時期のプランも改めて提案し、合意を得る必要がある。たとえ電柱1本であっても、盛り替えがうまくいかなければ計画全体が“アウト”となる。綱渡りのような状況だった。
 「誰が悪いわけでもない。やるしかない」。鹿島JVで同地区を担当する星野亨は、そうした姿勢で臨んだ。最終工期に影響を与えずに済む施工プランを立案するまでには、約5カ月を要した。
 小規模な計画変更は今も日常茶飯事で、他の工区も同様だ。そうした実態も受け入れつつ、前へ進めている。
 星野は、学生たちが新たに整備された道路を歩いて通学する光景を見た時に、仕事をした実感が湧いたという。日常をいかに早く取り戻していけるのか。ぎりぎりの勝負は、もうしばらく続くことになる。=敬称略
 (毎週火曜日に掲載します。ご意見・ご感想をメールでお寄せ下さい。東北支社・牧野洋久、mak@decn.co.jp)

建設業「命」の現場で・7/第2章・住まいに明かりを/降り掛かる条件変更

《日刊建設工業新聞》

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