【ゼネコン大手5社技術開発の潮流(下)】国の成長戦略に研究の種 画像 【ゼネコン大手5社技術開発の潮流(下)】国の成長戦略に研究の種

マネジメント

 ◇他業種との協業が革新生む
 ゼネコン各社は、シールドトンネルや免震・制震など技術開発にしのぎを削る。鹿島の戸河里敏常務執行役員技術研究所長は「本質的な課題は顧客のニーズがどこにあるか。顧客にとって価値のある提案ができるよう、強い競争力を持たないといけない」と話す。
 技術開発には、受注獲得という経営に直結したニーズへの対応に加え、国の政策に沿った取り組みも求められる。省・蓄・創エネを最適に組み合わせ、建物単体で年間の1次エネルギー収支ゼロにするZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化技術はその一例だ。
 経済産業省は、2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現する目標を設定。各社とも技研を中心に要素技術の検証を進めている。
 大成建設は、エネルギー消費量が大きく、制約も多い都市部のオフィスビルのZEB化がテーマ。竹中工務店は、既存建物のZEB化技術の確立を急ぐ。清水建設は、ZEBに対応する次世代外装材の開発に力を入れる。大林組は、ZEBの次の段階として、技研にエネルギーマネジメントシステムを構築。鹿島は、汎用的な技術でZEBを実現し、20年までに顧客が採用可能なコンセプトを確立する計画だ。
 材料研究も新技術の開発や現場の課題解決を支える重要な要素で、今後の課題に位置付ける社が多い。清水建設の石川裕常務執行役員技術研究所長は「コンクリートなど従来部材にも改良の余地は十分ある」と指摘する。
 独創性のある次世代素材への挑戦も欠かせない。大林組の汐川孝常務執行役員技術研究所長は、「人工知能や3Dプリンターの進化も興味深い分野だ」と期待を話す。
 政府が6月に閣議決定した「改定成長戦略2015」(日本再興戦略)。具体策として、「IoT・ビッグデータ・人工知能による産業構造・就業構造変革の検討」「二酸化炭素(CO2)排出の少ない水素社会の実現」「公共施設等運営検討の民間開放(PPP・PFIの活用拡大)」などのテーマが並ぶ。
 竹中工務店の東野雅彦技術研究所長は「政府の成長戦略を注視しながら技術開発の方向性を定める」と今後の方針を強調。「そうした需要に的確に対応していくためには、社外に新たなアイデアや技術を求める『オープン・イノベーション』が必要だ」と説く。
 大成建設の松井達彦執行役員技術センター長も「自前の技術を進化させるだけでなく、他社や大学などが持つ技術やアイデア、情報などを組み合わせ、革新的なビジネスモデルや研究成果、製品開発につなげていく」との考えを示す。
 (26日から3面で大林組、鹿島、清水建設、大成建設、竹中工務店の技術研究所のトップインタビューを掲載します)

ゼネコン大手5社技術開発の潮流・下/国の成長戦略に研究の種

《日刊建設工業新聞》

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