【ゼネコン大手5社技術開発の潮流(上)】現場の生産性向上課題 画像 【ゼネコン大手5社技術開発の潮流(上)】現場の生産性向上課題

マネジメント

 ◇省人化工法が重要性増す
 東京五輪が開催される2020年前後を境に、建設市場には大きな変化が訪れると予測されている。これに伴い、建設技術のニーズも変化。拡大する需要と現場の担い手不足に対応する生産性向上技術や、五輪後の国内建設市場の縮小をにらんで新たな事業領域を開拓するための技術などが重要性を増すとされる。ゼネコン大手5社の技術開発の潮流を探った。(編集部・「ゼネコン技術開発」取材班)
 「建設業に期待される役割は大きくは変わらない」。大林組の汐川孝常務執行役員技術研究所長はそう予測する。
 今、建設現場の担い手不足は深刻だ。1990年代後半以降、長期にわたった建設投資の減少で、多くの技能労働者が業界を離れた。それが2011年の東日本大震災をきっかけに一転。ここ数年、担い手不足が業界の最大の問題の一つになっている。少子化による生産労働人口の縮小も考えると、建設業が将来にわたって役割を果たしていくには、処遇改善などによる担い手確保と併せ、省人化・省力化工法による生産効率の向上が欠かせない。
 汐川氏は技術開発の最重要項目に自然災害への対応を挙げる。東日本大震災後も、14年8月の広島市北部の大規模土砂災害、今年9月の関東・東北豪雨など自然災害は後を絶たない。防災・減災技術に加え、「短期間で災害復旧を実現する材料開発も必要になる」と汐川氏は指摘する。
 省人化・省力化の代表例の一つが情報通信技術(ICT)を駆使して建設機械を遠隔操作する無人化施工だ。鹿島の戸河里敏常務執行役員技術研究所長は「無人で建機を稼働させる自動化システムの実証を造成工事やダム工事などで進めている」と話す。災害復旧工事は短時間で安全に作業することが必要で、特に無人化施工のニーズが高いとされる。
 増え続ける老朽インフラの点検を効率化する技術の開発も各社が注力する分野の一つだ。人の作業を代替・支援するロボットの開発も加速している。国土交通省は橋梁、トンネル、水中の維持管理、災害調査、災害応急復旧の5分野で民間が開発したロボットを検証中。16年度にも試行的に一部導入する計画だ。
 清水建設の石川裕常務執行役員技術研究所長は「現場の完全な自動化は難しい。単純作業はロボに置き換えられても、熟練技術者は欠かせない」と指摘する。技能者だけでなく、技術者の不足も業界が抱える大きな問題だ。
 大成建設の松井達彦執行役員技術センター長は「人工知能を搭載したセンサーを付け、構造物の側から補修時期を発信できるようになる」と人工知能を活用する技術の具体策を提案する。竹中工務店の東野雅彦技術研究所長は、大容量のデジタルデータ(ビッグデータ)の活用に注目。「人が分かるように整理することが大事だ」と指摘する。

ゼネコン大手5社技術開発の潮流・上/現場の生産性向上課題

《日刊建設工業新聞》

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