市場変化に備え……ゼネコン各社が新規分野開拓、海外事業拡大に注力 画像 市場変化に備え……ゼネコン各社が新規分野開拓、海外事業拡大に注力

マネジメント

 大型公共投資の縮小や2020年東京五輪関連需要の反動減にどう備えるか-。こうした重要な経営課題にゼネコン各社が、生産性の向上や技術開発など本業の基盤強化に加え、新規分野の開拓や海外事業の拡大に力を注いでいく方針でいることが、日刊建設工業新聞社がゼネコン29社の経営トップに行ったアンケートで分かった。国内建設市場の縮小を見越し、「量」の拡大から「質」の充実への転換を重視する動きといえそうだ。
 9月に各社のトップを対象に、今後10年(16~25年)の市場動向をどう予測しているか、市場や環境変化にどう対応していく方針かなどをアンケートで探った。
 今後10年の市場動向については、東京五輪前年の19年をピークに国内建設市場は縮小。量から質への需要転換が本格化すると予測するトップが多かった。
 アンケートでは、こうした長期的な市場変動や環境変化への対応策として、「現場生産性の向上」や「海外事業の拡大」など10項目を選択肢として列挙。特に重要だと思う対応策を5項目まで選んでもらった。その結果、最も多かったのは「現場生産性の向上」(28人)で、これに「人材の確保・育成」(26人)、「技術開発の強化」(23人)、「海外事業の拡大」(16人)、「新規事業分野の開拓」(12人)などが続いた。
 新規事業開拓について、想定している分野を聞いたところ、「再生可能エネルギー」や「環境」「医療」を挙げるトップが多かった。このほかにも「単純請負でない新たな事業(インフラビジネスなど)・開発不動産における新たな事業およびその周辺事業」(近藤晴貞西松建設社長)、「建設業のノウハウが生かせる周辺分野(建築などの川上、ストック市場)」(飯塚恒生東急建設社長)などの声が寄せられた。
 明確な分野・領域を示した経営トップも少なくない。辻範明長谷工コーポレーション社長は「マンション居住者を対象とするサービス関連事業の強化拡大」、武澤恭司東洋建設社長は「離島活動拠点や海底資源関連における海洋域での支援業務」、上野康信青木あすなろ建設社長は「既に事業化している自社分譲マンション事業の拡大」とそれぞれ回答した。これらに共通するのは、得意・注力分野をさらに深耕させる動きといえる。
 長期的視野で成長が期待できる事業分野・領域には、「再生エネルギー事業や医療福祉分野、インフラの維持・補修、防災関連分野の成長に期待」(今井雅則戸田建設社長)、「社会インフラ整備について『新設』に代わり『維持・更新』事業分野が成長」(樋口靖熊谷組社長)、「老朽化インフラへの対策、リノベーション事業。ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)や再生可能エネルギーなど環境負荷低減にかかわる事業」(蔦田守弘鴻池組社長)などを挙げる意見が多かった。「維持・更新」「防災・減災」「エネルギー・環境」は今後のキーワードになりそうだ。
 国内需要の縮小を見据え、海外事業の拡大を打ち出すトップも多い。「新興国の交通インフラ整備需要は、急速な都市化と経済成長により拡大が期待できる」(林康雄鉄建社長)、「アジア諸国をはじめとした海外への展開は政府の政策にも沿っており、収益構造の多様化において有力な選択肢」(松尾正臣東亜建設工業社長)などの声が寄せられた。
 今後の建設市場ついて、「脱請負分野は先行事例が形になれば一気に広がる可能性がある。人口減少のため住宅需要は減少傾向が鮮明になるだろう。それ以外の分野の需要の強さは、日本の経済成長に依存する関係性が継続すると思われる」(小原好一前田建設社長)という声もあった。
 アンケート回答企業は次の通り。
 △青木あすなろ建設△淺沼組△安藤ハザマ△大林組△奥村組△鹿島△熊谷組△鴻池組△五洋建設△佐藤工業△清水建設△大成建設△大豊建設△竹中工務店△竹中土木△鉄建△東亜建設工業△東急建設△東鉄工業△東洋建設△戸田建設△飛島建設△西松建設△日本国土開発△長谷工コーポレーション△ピーエス三菱△フジタ△前田建設△三井住友建設。

ゼネコン、市場変化に備え/19年境に需要縮小予測、量から質の転換鮮明/本社調査

《日刊建設工業新聞》

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