首都圏Look at/都が特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化を加速 画像 首都圏Look at/都が特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化を加速

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 東京都が緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例を施行してから3年。条例で義務化された旧耐震基準の建築物の耐震診断は、実施率が9割を超え、一定の成果が上がっている。一方で、努力義務となっている耐震性能不足の建築物の改修などの実施率は2割にとどまる。耐震化率が思うように上がらない中、都は耐震改修促進計画の改定作業に着手。2020年東京五輪に向けて耐震化の取り組みを加速させる。

 「東京都における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例」は、くしくも東日本震災が発生した11年3月11日に都議会で議決され、12年4月1日に施行された。条例では、災害発生時に救急救命・消火活動、物資輸送、復旧活動の生命線となる緊急輸送道路(延長約2000キロ)のうち、特に重要な特定緊急輸送道路(約1000キロ)を指定。建物が倒壊して道路をふさぐことがないよう、10年度末時点で耐震性が不十分だった沿道の4845棟の耐震化を20年度までに終えることを目標に、耐震診断を所有者に義務付けた。

 診断や改修に対する助成制度など支援メニューも充実。耐震診断を未実施で診断実施の意思も示さない建築物をホームページで公表するなど耐震化に対する意識の醸成も図ってきた。こうした取り組みが奏功し、耐震診断助成の利用者は15年5月末時点で3501件と好調に推移。対象となる4845棟のうち耐震診断を実施した建築物は4446棟、実施率は91・8%と9割を超えた。未実施の399棟でも、10月1日時点でほぼ半数の188棟が耐震診断を実施する意思を示している。

 一方で、耐震改修などを実施済みの建物は1231棟(7月末現在)にとどまり、対象建築物に対する実施率は25・4%と低調だ。助成制度の利用は、耐震設計で12年度55件だったのが13年度は295件、14年度は293件、耐震改修でも12年度の31件が、13年度は160件、14年度は221件と着実に伸びてはいるが、全体の耐震化率引き上げにはつながっていないのが現状だ。

 中でも対策が急がれるのが分譲マンションやテナントビル。都の担当者も「区分所有者間の合意形成の難しさなどから、耐震化率は全体よりも低い20%程度にとどまっている」と話し、耐震化アドバイザーの無料派遣を周知するなど、今後はマンションなどでの耐震改修推進に重点を置く考えだ。

 ただ、耐震改修の実施はあくまでも努力義務のため、都側も強い指導ができないというジレンマを抱える。「耐震化の推進に向け、路線全体、地域全体で耐震化意識の高揚を図るしかない」(担当者)と話すように、耐震改修工事現場での耐震マークの掲示やビル・マンションの耐震改修事例集の作成など、地道な広報活動を続けるしかないのが現状だ。

 こうした状況を打開するため、都はこのほど、11年度に改定した耐震改修促進計画の再改定に向けた作業に着手した。開会中の定例都議会で安井順一技監は「耐震診断が進んだことで路線ごとの耐震化状況はほぼ把握できている。この結果からシミュレーションし、建物倒壊による道路閉そくがゼロとなるよう耐震化の目標を定め、達成に向けた新たな支援策を検討していく」と答弁。耐震化率が70%を下回る路線を重点的に耐震化を進めていく考えだ。

 都は残り5年を切った東京五輪までの目標達成を目指す方針で、本年度内の改定を目指している耐震改修促進計画で新たな取り組みや支援策を示すとしている。
《日刊建設工業新聞》

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