【建築へ】東京・パークシティ大崎、にぎわう街にアートが彩り 画像 【建築へ】東京・パークシティ大崎、にぎわう街にアートが彩り

インバウンド・地域活性

 ◇彫刻やオブジェ11作品配置/出会い演出、想像力育む
 東京都品川区のJR大崎駅北口に誕生した新しい街「パークシティ大崎」。にぎわう街に新たな魅力を与えているのが、超高層から低層まで多様なデザインの7棟の建物と広場、屋上庭園の中に点在する彫刻やオブジェなど11のアート作品群だ。作品を選んだアートディレクターの清水敏男氏は「アートは新しい街と人の出会いを円滑にし、訪れる人々の豊かな想像力を育む」と話す。副都心に新たに生まれた街と建物を探訪しながら、芸術の秋を楽しんでみては-。(編集部・川田真由美)
 パークシティ大崎の入り口となる大崎ブライトタワー(オフィス・店舗棟)の1階エントランスでひときわ目立つのが「TO THE SKY」と題された彫刻。制作したのは、元東京芸大学長で東京スカイツリーのデザイン監修でも知られる彫刻家の澄川喜一氏。澄川氏は、自らの作品について「空に向かって開くイメージを具現化した。新しい街に住む人、働く人、訪れる人の輝く明るい未来を象徴した」と話す。依頼した清水氏も「メーンとなる作品」と強調する。
 パークシティ大崎は、5街区に分けられた敷地に複数の道路が行き交い、その交差点の脇に高さも役割も異なる建物群が並ぶ。職住近接の新しい街並みは敷地の30%が緑地で、働く人にも住む人にも憩いの場を提供する。最新の設備を備え、ガラスが多用された各建物は開放感にあふれ、行き交う人々に空に向かうイメージを感じさせる。
 清水氏は、美術館に13年勤務した後、パブリックアートのディレクターに転身。現在は学習院女子大教授も務める。パリに長年暮らし、アートが街の中にある光景に親しんだ。「アートは都市の中に必要」との信念を持ち、これまで数多くの都心の再開発事業でアートワークを手掛けてきた。
 パークシティ大崎プロジェクトに関わるきっかけは、建物群を設計した日本設計からの依頼。「エリア内に交差点があり、多様な都市風景が出現することが予測されて興味を持った」という。日本設計とは過去にも数多くのプロジェクトでアートワークを手掛けた実績がある。その信頼から09年に日本設計のチームに入り、プロジェクトの川上段階から事業主、設計者、照明、ランドスケープ、サインなどのデザイナーらと20回以上の会議を重ねた。10年にはコンセプトやテーマ、設置場所、アーティスト候補を披露した。
 清水氏が提案したアートワークのテーマは「クリエーティブ・クロッシング」。敷地内の交差点(クロッシング)に着目し、11のアート作品を敷地や建物の入り口、マンションのロビー、屋上庭園など人が集う場所に配置し、出会いを演出する。アートワークの役割を「新しいまちと人との出会いを円滑にするとともに、非日常の光景を提供し、豊かな想像力を育むことにある」と話し、「11個の作品が、パークシティ大崎という街に活力と潤いを与えられたらうれしい」と強調する。
 頭を悩ませたアーティストの選定では、クオリティーの高い作品を制作できるベテランと、ダイナミックな作品を作る中堅や若手をバランスよく起用。保育園が近くにあり、親子連れが多いことも考慮し、子どもが触れても安全な作品を依頼した。パークシティ大崎ザレジデンス(住宅棟)のエントランス近くにあるガラス作品「amorphas」はベテランの狩野智宏氏が制作した。見る場所、時間によってさまざまな表情を見せ、常に新しい発見ができる楽しみを与えている。
 大崎ブライトプラザ(商業棟)の屋上庭園には若手を中心に3人のアーティストの作品を設置し、にぎわいを創出した。渡辺元佳氏が手掛けた「ぽたんひつじ」は椅子にもなるユニークな作品だ。
 東京ミッドタウン(東京都港区)や大手町フィナンシャルシティ(同千代田区)、豊洲フォレンシア(同江東区)でアートワークを手掛けてきた清水氏。プロジェクトによってテーマは異なるが、都市のアートが担う役割の共通点に、▽街のシンボルとなる▽住人や訪問者に安らぎの場を提供する▽冷たい印象を与える建物に人間的なぬくもりを加える▽安全で堅固-を挙げる。都市にこそアートが必要という清水氏は「アートは都市の装飾ではなく、構造自体に関わる存在。ロンドンやパリ、ニューヨークと比較しても、現代アートを発信する施設、機会が不足している東京で、都市構造に関わるアートワークを今後も提案していきたい」と話している。
 《パークシティ大崎の建物概要》
 パークシティ大崎の所在地はJR大崎駅北東側に位置する品川区北品川5の3の4ほか。3.6ヘクタールの敷地には商業、オフィス、住宅棟など7棟が立ち並び、建物の総延べ床面積は25万平方メートルに及ぶ。建物は、△大崎ブライトコア(オフィス棟)=S・SRC・CFT(コンクリート充てん鋼管)造地下2階地上20階建て延べ4万4770平方メートル△Sumビル(作業所棟)=S造4階建て延べ3170平方メートル△大崎ブライトタワー(オフィス棟)=S・SRC・CFT造地下2階地上31階建て延べ9万1960平方メートル△パークシティ大崎ザレジデンス(住宅棟)=RC造18階建て延べ1万2450平方メートル(116戸)△パークシティ大崎ザタワー(住宅棟)=RC造地下2階地上40階建て延べ9万3010平方メートル(734戸)△大崎ブライトプラザ(商業棟)=S造2階建て延べ4210平方メートル△地域交流施設棟=S造350平方メートル。
 《パークシティ大崎の作品》
 【大崎ブライトタワー】TO THE SKY(澄川喜一)▽宙に描く(伊藤隆道)
 【パークシティ大崎ザレジデンス】amorphas(狩野智宏)
 【大崎ブライトプラザ屋上】どんぐり(ラム・カツイール)▽ぽたんひつじ(渡辺元佳)▽午後の陽だまり(長崎哲士)
 【パークシティ大崎ザタワー】Cloud9(ケイト・トムソン)▽覚醒する風景(片桐宏典)
 【大崎ブライトコア】ざわざわと、ひゅんひゅんと、ぎっぎーっと(五十嵐威暢)▽永遠(西田明未)
 【Sumビル】ステラ マシーン(タムラサトル)

建築へ/パークシティ大崎(東京都品川区)/にぎわう街にアートが彩り

《日刊建設工業新聞》

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