建設コンサル、異分野進出で「ミニ商社」化続々…市場縮小にらみ 画像 建設コンサル、異分野進出で「ミニ商社」化続々…市場縮小にらみ

マネジメント

 建設コンサルタント業界で、建設関連とは大きく異なる新分野の事業に手を伸ばす動きが広がっている。対象は観光、情報通信、農業・水産業、発電などさまざま。多くは自治体との間に太いパイプを築き、最終的に本業の公共インフラの調査・設計や包括的な維持管理、まちづくり支援など関連業務の受注につなげるのが狙いだ。2020年以降の建設市場の縮小をにらんで多様な分野に業容を広げ、国内外で新領域を開拓していく姿を建設分野の「ミニ商社」と指摘する声もある。
 9月15日、パシフィックコンサルタンツグループのイノベーション推進センター(IPC)が東京都内で開いた地域創生セミナーには、行政、情報通信業、建築設計業など多様な分野から100人を超す人が集まった。
 IPCは「地方創生」に関係する事業を展開する新会社として昨年10月に発足。地域発の優れた活性化事例を参考に新事業を模索している。IPCに先行する形でパシコン本体も、道の駅(滋賀県甲良町)、地域物産・農水産直売とベーカリー販売を行う地域振興施設(宮城県東松島市)、太陽光発電(茨城県つくば市、静岡県西伊豆町)、中京圏でのサービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームの運営など多様な事業を手掛けている。
 建設関連企業が新たな収益事業を検討する場合、本業と関係する周辺分野で事業やサービスを発掘することが多いが、最近のコンサル各社の動きはこうした取り組みとは一線を画する。
 各社が2020年東京五輪後も各地で安定した発注量が期待できるとみているのが、公共インフラの維持管理と老朽化対策、高齢化社会を踏まえたコンパクトシティー化に関連する業務だ。建設関連分野にとどまらず、多種多様な業態に足を踏み入れ、地方自治体との信頼関係を築く機会を増やすことで、調査、計画、設計という本業の受注を取り込む。さらに新たな事業を軌道に乗せ、新領域の開拓も成功に導こうという思惑だ。
 そのために各社は、全国で多くの自治体が悩んでいる「地域振興」「地域活性化」を切り口にした新たな事業を次々に探し出し、実際に仕事を手掛けている。
 業界トップの日本工営は全国5カ所のダムで水力発電事業を運営中だ。今後2カ所が増えるが、全国で数百カ所を水力発電の候補地として挙げ、新たな収益源の確立と、エネルギーの地産地消による地域貢献を目指す。
 建設技術研究所が運営するのは、東京都内の歴史クルーズ「お江戸日本橋舟めぐり」。同社が所有する電気ボート「江戸東京号」に乗船し、日本橋川や神田川、隅田川を巡りながら街並みに残る江戸の雰囲気を体験してもらう有料のツアー企画だ。
 ACKグループは、傘下の主要各社で多彩な事業を手掛ける。アサノ大成基礎エンジニアリングは、温泉地などで地熱を利用した小規模発電事業と、果樹などのハウス栽培事業を同時に実施する事業に乗りだした。エイテックはスマートフォンなどICT(情報通信技術)を活用し、地域住民が知っている危険箇所情報を収集し、対策に生かすプロジェクトを島根県雲南市で始動。オリエンタルコンサルタンツは4月、山梨県南アルプス市で市内周遊観光事業とトレッキングツアー事業を始め、超小型電気自動車(EV)や電動アシスト自転車を有料で貸し出している。
 長大は9月28日、インドネシア・バリ島で旅行者向けに観光情報をスマートフォンを介して提供する事業を開始した。国内にとどまらず、フィリピン・ミンダナオ島でも小水力発電や上水供給、稲作・精米、ウナギの養殖を幅広く展開。今後はこうしたノウハウを国内に反映させるという。

コンサル業界/「ミニ商社」化、異分野進出続々/本業市場縮小にらみ

《日刊建設工業新聞》

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