【時流自流】JICA理事長・北岡伸一氏「文化と伝統踏まえ対応」 画像 【時流自流】JICA理事長・北岡伸一氏「文化と伝統踏まえ対応」

海外進出

 ◇相手国に真に役立つインフラ提供
 国際協力機構(JICA)の理事長に10月1日付で就任した北岡伸一氏は、途上国への開発協力には、相手の立場を尊重し対等の立場で協力する姿勢(オーナーシップ・パートナーシップ)が重要と説く。インフラシステム輸出を進める上で相手国に真に役立つものを提供しつつ、日本側にも利益が出るような工夫に知恵を絞る。
 --就任の抱負を。
 「組織運営に当たり、現場の動きをよく知らないと方針を明確に示せない。個々の現場には伝統や文化があり、それを無視することもできない。さまざまなミッションを抱えるJICAの現状を全体で共有し、各セクションで何が課題となっているかを見極めながら対応していく」
 --国際協力のあり方をどう考える。
 「どの国にとってもその試みが自由で安全、そして豊かになることが国益となる。さまざまな時代背景と周辺環境の中で、それを実現する方法も地域ごとに異なる。日本の国益の根っこの部分は、国際社会の中で力強い存在であり続けること。自国のプレゼンスを維持するには、国際秩序の安定も不可欠であり、国益と世界の秩序の両面を追求することが重要だ」
 「日本の国際協力は昔からオーナーシップ・パートナーシップに基づいて進められ、評価されてきた。協力・援助は一義的には相手国のためだが、ひいてはわれわれの国益にもつながる。歴史を踏まえ、世界の経験を取り入れながら、その現地で可能な施策を、可能な範囲で進めていく」
 --政府が推進するインフラシステム輸出への対応は。
 「デベロップメントの中でインフラや都市整備の役割は非常に大きく、重要だ。日本は質や安全度の高いインフラを提供できる半面、コストが高い。インフラを輸出する上で、相手側のコストに対する価値観やニーズなどを総体的に評価する必要がある。今は支援の競争も激しい。真に相手国のためになり、かつ日本側にも利益が出るようにいろいろと工夫をしていきたい」
 --日本が事業化を支援してきたインドネシアの高速鉄道事業を中国が受注した。
 「今回の件については表に出ていないこともあり、よく勉強し、政府とも相談しながら反省の材料にしたい。日本政府は(中国と違い)全部のリスクを背負うことはできない。中国の援助のやり方も変化・進化しており、むげに否定もできない。国際協力で存在感を高める際、重要なポイントはやはりオーナーシップとパートナーシップだろう。相手国に本当に役立つものかどうかを示すことが、事業の受注を左右することになる」。
 (きたおか・しんいち)76年東大大学院法学政治学研究科博士課程修了。東大法学部教授、日本政府国連代表部次席代表、政策研究大学院大学教授、国際大学学長を歴任。11年紫綬褒章受章。奈良県出身、67歳。

時流自流/国際協力機構理事長・北岡伸一氏/国際秩序の安定と国益追求

《日刊建設工業新聞》

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