鳥獣被害、都会へ発信…鹿の頭蓋骨をアート作品に 画像 鳥獣被害、都会へ発信…鹿の頭蓋骨をアート作品に

インバウンド・地域活性

 岡山県美作市で地域おこし協力隊として活動する喜多村雄真さん(24)は、鹿の頭蓋骨を使ったアート作品を作り、自らブランドを立ち上げた。鳥獣被害に苦労している地方の現状をアートで表現することで、「なぜ被害が発生するのかを都会の人に考えてもらい、猟師への応援につなげたい」と奮闘する。18日には隣の勝央町のカフェで鹿の頭蓋骨アートや角で作ったピアスなどを販売する予定だ。

 京都市出身の喜多村さんは大学時代、社会科の教諭を目指していたが「実際に見聞きしたことでなければ生徒の心には響かない」と、奴隷貿易の歴史があるガーナや虐殺が行われたルワンダなどを訪問。東日本大震災の被災地にもボランティアで駆けつけた。それぞれの地を訪れる中で命のはかなさと同時に、生きていくために食べることの大切さに気付いた。

 教諭ではなく地域おこし協力隊になったのは、岩手県で出会った美作市の地域おこし協力隊員が、かっこいいと感じたから。「自分も現場に飛び込みたい」と迷わず進路を変更。2013年3月、大学卒業後すぐに美作市へ移住し、協力隊員となった。

 だが、あこがれの隊員となったものの、当初は「何でもできる不自由さ」に悩んだ。協力隊としての自分の方向性、価値を見いだせずに一時は辞めることも考えた。

 そんなとき、出合ったのが野生鳥獣の処理施設からもらった鹿の頭蓋骨だ。深夜にふと思い立って骨に絵を描き、インターネット上の交流サイト「フェイスブック」に掲載すると、友達から「面白い」「こんな作品、見たことない」などの反響が相次いだ。

 同市のニホンジカ捕獲頭数は約4900頭、農業被害額は約6000万円(14年度)と一向に減らないことから、自分の得意な絵や工作で地域に貢献しようと考えた。

 自らの作品には「命を暮らしに生かす」という意味を込めて「LIFETERIOR(ライフテリア)」というブランド名を付け、4月から本格的に活動を始めた。鹿の頭蓋骨のオブジェや角のピアス、ネックレスなどを制作し、フェイスブックを通して注文を受け付けている。

 骨は処理施設や猟師から買い取る。自身もわな免許を取得しているが「まだまだ下手くそ」。だからこそ、作品を制作することで「あいつの所に骨や角を持っていけば、ビール1本にでもなると思って猟の励みにしてほしい」。

 来年3月には隊員の任期が終わる。地域で定住するためにアート作品の制作が仕事になるよう、まずは事業を軌道に乗せることが目標だ。「猟師が命に向き合っていることに対する対価として、なるべく高く骨を買い取れるようになりたい」。農山村で生きる夢を語る。

 価格は、鹿の角で作ったブローチが1500円から。頭蓋骨アートは15万円。(柳沼志帆)

地方の窮状 都会へ発信 鹿の頭蓋骨をアート作品に

《日本農業新聞「e農net」》

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