物流デベロッパー・トップの視点(8):三井不動産、多様なリレーションが奏功 画像 物流デベロッパー・トップの視点(8):三井不動産、多様なリレーションが奏功

マネジメント

 12年に物流施設の開発事業に新規参入し、どちらかと言えば後発組の三井不動産。当初は17年度までに2000億円の開発投資を予定していたが、想定を上回るペースで物件を取得。4月には事業部門を「ロジスティクス本部」に格上げし、さらなる事業拡大を目指している。三木孝行執行役員本部長は「当社の強みである総合デベロッパーとしての多様なリレーションシップ(顧客とのつながり)が功を奏している」と話す。

 ーー事業参入の経緯は。

 「これまで培ってきた不動産開発のノウハウやテナントネットワークを十分に活用できる分野であるため、12年に策定した中期経営計画で国内事業の競争力を強化する新たな柱と位置付けた。不動産ソリューション事業(CRE戦略の支援など)では、顧客から工場跡地の利用方法についての相談が多くある。物流施設なら工業地域で開発できるし、事業を通じて物件を取得しやすいのではないかという考えもあった」
 「オフィステナントで約3000社、商業テナントで2000社に上る既存顧客も将来的に荷主となってくれる可能性がある。当時は3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)事業者も台頭していたため、物流不動産市場は有望なマーケットだと判断した」

 ーー参入後は急成長し、わずか3年でロジスティクス事業部が本部に格上げされた。

 「(これほどの事業拡大を)予想はしていなかった。当社の既存のリレーションシップが功を奏し、相対(あいたい)で土地を取得できていることも大きい。初年度から物件を取得し、現在までに8物件(賃貸面積約16万坪)が稼働している。計画中の物件も8物件(賃貸面積約18万坪)ある。これらの物件だけで、17年度までに予定していた2000億円の投資を超える見通しだ」

 ーー三井不の物流施設の特徴は。

 「先進的物流施設としてグレードの高いものをつくる。免震装置は代表的な物件にすべて入っている。最近は従業員を集めるため、開発用地として駅から徒歩圏内の場所を選んでいる。1物件当たりの従業員は800~1000人。施設内に休憩所やラウンジをつくり、従業員が快適に働ける環境を目指している。女性でも働きやすい環境づくりには、商業施設の運営ノウハウが役立っている」

 ーー今後の事業戦略をどう描く。

 「今後は年間3~4棟、投資規模にして400億円程度を目安に、無理をせず、継続して開発していく。需給バランスを勘案しながら、3大都市圏(首都圏、中京圏、近畿圏)と地方中核都市に注力する。最近は名古屋市、福岡市で新たに開発用地を取得した。仙台市、札幌市といった当社の支社があるエリアなど、さらに地方に進出する可能性もある。海外に関しても、アジア圏、特に東南アジアへの進出に向けて検討を進めている」
 「米国に比べると、日本はまだ先進的な物流施設が少なく、全体の3~4%ほど。まだ成長の余地があり、パイを食い合っているというより、さらにパイが広がっていると考えている。今後は、開発、保有(賃貸)、マネジメント(運営)の各事業をバランス良く組み合わせて成長を目指す。開発、マネジメントの両事業を伸ばすため、15年度にロジスティクスリート準備室を設立し、リート(不動産投資信託)設立に向けた準備を本格化させている」

 ーー工事費の高騰への対応は。

 「当社は、早ければ土地の取得段階で施工会社を決めるようにしている。信頼関係のあるゼネコンに発注し、急激な建設コストの上昇を回避する」。
《日刊建設工業新聞》

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