建設業界、公共工事急減に悲鳴…激しい地域格差も 画像 建設業界、公共工事急減に悲鳴…激しい地域格差も

インバウンド・地域活性

 建設業界で公共事業費の増額を求める声が高まってきた。国の15年度公共事業関係費は、前年度当初予算並みの6兆円が確保されているが、公共工事の発注量が前年度より大幅に減少している地域もあり、全国的に地域間格差が目立つ。担い手確保や労働者の処遇改善には経営の安定が欠かせないだけに、15年度の大型補正予算編成や16年度予算での公共事業費の増額確保を求める声が今後、勢いを増しそうだ。
 公共工事前払金保証事業会社3社の統計を利用した全国建設業協会(全建)の調査結果によると、4~8月の公共工事の発注量(請負金額ベース)は、昨年度に景気対策で大幅な前倒し発注が行われたための反動もあって、前年同期比の減少率が2桁に達する地域が少なくない。
 13年度との比較でも、都道府県別で国の工事の発注量が増えたのは岩手、宮城、東京、山梨、福井、山口、徳島、沖縄の8都県にとどまる。群馬、新潟、滋賀、京都、岡山、宮崎の6府県は減少率が5割を超す。ある県の建設業協会会長は「工事量減少の影響が大き過ぎる」と悲鳴を上げる。
 全建は、各地の窮状を考慮し、7日に始まる公共工事発注機関との地域懇談会・ブロック会議で、15年度補正予算の早期編成を要望する考えだ。全国建設産業団体連合会(全国建産連)も、9月29日に新潟市内で開いた全国会長会議での議論を踏まえ、「カンフル剤としてフロー効果を発揮する補正予算が必要」(北川義信会長)と訴える構えを見せている。
 補正予算の待望論が噴出するのと同時に、当初予算ベースでの十分な公共事業費の確保を求める意見も根強い。企業経営には計画的な人員採用や設備投資が不可欠で、「補正頼みでは経営は立ち行かない」(地域建設会社社長)との声も多い。
 09年の民主党政権発足以降、それまで6兆円以上あった国の予算の公共事業関係費は急減。補正予算を除けば12年度は4兆円台にまで落ち込んだ。その後、東日本大震災の復旧・復興が急務となり、12年12月に政権復帰を果たした自民党が財政出動にかじを切ったことで増加に転じたが、民主党政権に移行する前の水準にまでは回復していない。
 「横ばいでは駄目。緩やかにでも上昇させるべきだ」。ある建設関係団体の幹部はそう指摘する。業界がこれから若い担い手を確保していくためには、賃金や休日の増加をはじめとする処遇改善が欠かせない。国は設計労務単価を引き上げ、資材費も高止まりしているとすれば、予算が増えない限り、同水準の工事量は確保されない。
 改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)は、受注者が適正利潤を得られるようにすることを規定。経済成長を実現するためにも、企業が持続的に収益を伸ばせる環境が欠かせない。
 最近の景気の足踏み傾向を受け、補正予算によるてこ入れ論は強まっている。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の結果によっては、農業対策の関係から補正予算編成の動きが加速する可能性もある。年末に向け、15年度補正予算と16年度予算の編成で政府・与党がどんな判断を下すのか、目の離せない状況が続きそうだ。

公共工事急減に悲鳴/業界、補正・当初予算で増額要望/処遇改善・成長に不可欠

《日刊建設工業新聞》

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