技術職採用試験、受験者確保へ新たな取り組み 北海道 画像 技術職採用試験、受験者確保へ新たな取り組み 北海道

人材

 ◇社会人経験者枠設定や名簿搭載期間延長
 北海道の工事発注業務などに携わる技術系職員の採用で、合格倍率(受験者数を最終合格者数で割った数値)が低下している。道人事委員会がこのほど公表した15年度の採用試験実施状況によると、年齢別に三つある採用区分のうち、採用数の半数以上を占める大卒程度(22~30歳対象)を対象とした合格倍率は1・9倍。2人に1人が合格していることになり、採用予定者数に見合う十分な受験者数が確保できていない状況だ。こうした現状に対し、道ではより良い人材を確保する目的で、社会人経験者採用枠を設けるなどの新たな取り組みを始めている。
 道では近年、職員数が多いいわゆる「団塊の世代」の退職に伴い、事務系・技術系ともに採用数を増やしている。主に建設部や農政部などで公共事業に携わる技術系職員(総合土木、農業、水産など)の採用予定者数の推移を見ると、10年度の45人から11年度に61人、12年度に74人、13年度に85人、14年度に121人、15年度は205人となっている。
 道の募集に対する受験者数は10年度が258人、11年度が286人、12年度が273人、13年度が189人、14年度が366人。採用予定者数が10~14年度の平均で28・4%の割合で増加しているのに対し、受験者数は平均で17・6%の増加にとどまる。
 採用予定者数の増加に見合う受験者数がいないため、合格倍率は年々低下している。10年度に4・8倍あった倍率は、11年度は3・7倍、12年度は3・0倍、13年度は2・8倍、14年度は2・4倍。現時点で最終合格者数が公表されている22~30歳を対象とした「A区分」の15年度の試験結果をみると、1・9倍まで低下、2倍を切った。
 受験者数が伸び悩んでいる背景には、少子化による受験者数の減少のほかに、近年の学生が遠方への転勤を避ける傾向にあることなどが挙げられる。地方公務員の場合、転勤の範囲は基本的に都道府県内に限られるが、北海道の場合は面積が広いため転勤範囲が広域になる。道人事委員会担当者は「遠方への転勤をしたくないと考える学生は、道庁職員になりたがらないのかもしれない」とみている。
 16年3月卒業の新卒学生の採用で、企業側の採用や選考スケジュールを例年よりも遅らせるという、経団連が打ち出した新ルールも要因の一つとなっているようだ。
 新ルールでは、例年4月からとなっている企業側の筆記試験や面接などによる選考活動の解禁時期を、8月に後ろ倒しするよう求めている。道では新ルールに従い、選考活動の開始時期を8月に設定。しかし、選考時期が短期化したことで、民間企業と公務員を併願している学生は双方の選考スケジュールが過密になり、「両方を受ける余裕がなくなって、どちらかを諦める学生もいるのでは」(担当者)との見方もある。
 主要発注機関として、公共事業の適切な執行には技術系職員の確保が不可欠となる。道では良質な人材確保に向けて、より多くの人に試験を受けてもらおうと、14年度から新たな取り組みを始めた。
 取り組みの一つが社会人経験者枠の新設だ。道では事務系職員でのみ中途採用を行ってきたが、14年度から技術職でも社会人採用を開始した。受験年齢は59歳以下とし、民間企業などでの5年以上の実務経験を求める。
 14年度の採用状況を見ると、A区分の倍率が2・2倍、B区分(18~21歳対象)が2・0倍なのに対し、C区分となる社会人採用は6・1倍と、多くの受験生を集める結果となった。
 主に学生を対象としたA、B区分と比較して、社会人採用枠に多くの受験者が集まったことについて担当者は、社会人採用枠の受験者が遠方への転勤に対するマイナスイメージを学生ほど抱いていないことなどが理由の一つではないかと分析する。
 担当者によると、社会人採用枠の主な受験者は建設会社社員のほか、農業組合職員、市町村職員など。特に市町村職員の場合、30歳くらいになった時に「より大きな範囲で仕事をしてみたい」と考え、あえて遠方の転勤の可能性がある道を受験する人も少なくないという。
 道が人材の確保に向けて始めたもう一つの取り組みは、合格者が道への入庁を決めるまでの猶予期間の延長だ。通常の地方公務員の採用では、試験合格者は「任用候補者名簿」に1年間記載され、その間に入庁するかどうかを決めることができる。道は14年度から、A区分の合格者を対象に記載期間を全国で初めて3年間に延長した。
 記載期間の延長は、合格者の意向に応じて行う。大学院への進学意志がある大学生が対象。就職先を確保して大学院での研究に専念したいと考える学生の受験を促す狙いがある。道としても、専門分野での知見を深めてもらい、技術職としての質が高まった状態で入庁してもらえるというメリットもある。
 14年度に開始したこの新制度を活用した合格者が入庁するのは17年4月。記載期間を延長した合格者がどの程度入庁するのかなど、新制度の効果は3年間の猶予期間を経て明らかになる。今後の制度活用について、担当者は「17年4月の結果を見た上で検証していく」と話している。

北海道/技術系職員採用試験の競争倍率低下/受験者確保へ新たな取り組み

《日刊建設工業新聞》

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