首都圏Look at/建物の容積緩和措置…新たな規定・仕組み続々 画像 首都圏Look at/建物の容積緩和措置…新たな規定・仕組み続々

インバウンド・地域活性

 昨年7月の建築基準法改正で、エレベーターシャフト(昇降路)の空間をビルの容積に算入しないとする規定が盛り込まれてから約1年。法改正によって生まれた容積の余剰分を有効活用しようと、施行直後から着工前の開発プロジェクトの計画見直しが相次いでいる。国は現在、省エネ性能の高い建物に対して上限容積率を数%程度割り増しする法令を準備。着工前の開発プロジェクトの計画見直しに更に拍車が掛かることになりそうだ。

 エレベーターシャフトの容積不算入は、建物のバリアフリー化の促進に加え経済対策の一つとして改正建築基準法に盛り込まれた。法改正を契機として、昨夏以降、開発計画を練っている最中の大規模ビルを中心に計画見直しが続発。エレベーターシャフトの面積は建物の延べ床面積のうち3%程度だが、新たに生まれた容積を使って、ビルの階数を1層増やしたり、フロア面積を広げたりする事例がみられた。

 今年の春から夏にかけては、建設中のビルの設計変更が増えてきた。いずれも着工前の計画見直しが間に合わず、新たに生まれた容積の使い道を着工後に検討してきたプロジェクトだ。

 昨年9月に着工した「赤坂一丁目地区第一種市街地再開発事業」(東京都港区)は、オフィス基準階を積み増し、階数を37階から38階に変更。延べ床面積は17万5296平方メートルから17万8328平方メートルに増やした。昨年11月に着工した「日本橋二丁目地区第一種市街地再開発事業」(東京都中央区)のA街区も、階数を26階から27階に、延べ床面積を5万8084平方メートルから6万0142平方メートルに変更した。

 単純に賃貸・販売面積を増やすのではなく、当初の計画にはなかった、新たな施設機能の導入を決めた珍しい事例もある。昨年8月に着工した高さ約230メートルの超高層ビル「渋谷駅街区開発計画I期(東棟)」(東京都渋谷区)は、延べ床面積を17万4000平方メートルから18万1000平方メートルに増やし、それと同時に屋上全面に展望施設を設けることにした。

 開発事業者の一員である東京急行電鉄は「2020年東京五輪を契機に訪日外国人も増える中、エンターテインメントシティー渋谷として街の魅力を増していく」と展望施設の意義を強調。屋上直下の数フロアも展望スペースとして整備するが、「当初計画していたオフィスなどの床面積を減らすことなく設置が可能になった」と説明する。

 このように、新たに使える容積がわずかでも増えれば、建物の規模に比例して計画見直しの選択肢が増えることになる。来年4月に一部施行される建築物省エネ法の中でも、建物の省エネ化を誘導するために建築主向けのインセンティブとして上限容積率の割り増しが講じられる予定で、現在計画中の開発プロジェクトに大きな影響を与えるとみられる。

 インセンティブは、13年に整備された最新省エネ基準を目安に建築設備の年間1次エネルギー消費量を1~2割削減できれば上限容積率を数%程度割り増しする。16年4月以降に新築される建築物に加え、改修・増築される既設建築物も最新省エネ基準を満たせば割り増しを受けられるようになるという。

 今後、国土交通省が具体的な割増値などを定めた詳細なルール作りを進め、12月に省令・告示で決定する。その動向に開発事業者が熱い視線を送っている。
日刊建設工業新聞

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