トヨタの父が説いた「迫力の豊田綱領」 画像 トヨタの父が説いた「迫力の豊田綱領」

インバウンド・地域活性

 言わずと知れた「世界のTOYOTA」の生みの親。“天才発明家”として野口英世とともに世界に知られた日本人・豊田佐吉の長男であり、自動車産業の礎を築いた。没後63年を迎えた今でもトヨタ自動車の象徴であり、喜一郎の理念は脈々と同社のDNAとして受け継がれている。

 自動織機の開発で天才と称された佐吉。喜一郎も天才肌の技術者である。「必要なものを、必要な場所に、必要な時に」という「かんばん方式」を考案。在庫という概念を大きく変えた「かんばん方式」は、フォードによるベルトコンベヤーと並ぶ自動車産業の“二大革命”と言える。

 米国メーカーが絶対的優位な地位を占めていた戦前の自動車業界ながら、喜一郎がこだわったのが国産技術。独自の技術開発が工業の発展を促し、そのためには絶えざる研究と創造が必要と説き続けた。喜一郎はこう語っている。

 「人のものを受け継いだものには、楽をしてそれだけの知識を得るだけに、さらに進んで進歩させるという力や迫力にかけるものである。日本の真の工業の独立を図らんとすれば、この迫力を養わなければならない」―。

 創業以来、同社の経営の核として受け継がれてきた「豊田綱領」。その一つには「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」という教えが記されている。これは国産自動車への夢やこだわりを抱き続けた喜一郎の熱い思いが込められている。
(敬称略)
※日刊工業新聞では毎週金曜日に「近代日本の産業人」を連載中

「製造業は改善の宝庫」 新美篤志ジェイテクト会長
日刊工業新聞2014年3月24日付「主張」
 トヨタ自動車の業績が復活した。私自身2013年までの4年間、生産担当副社長としてトヨタを支えてきた。よく言われているとおりトヨタは毎年約3000億円の原価低減に取り組んでいる。復活の背景には“超円高”が是正されたことだけでなく、原価低減などを通じて社内と仕入れ先を含めた全体で努力してきたことが大きい。

 【今こそ国内に再投資せよ】
 トヨタ時代に取り組んだのは生産性向上のための地道なことだ。まずは品質をよくしてロスを減らす。トヨタでは不良が出るとラインを止めるので、不良が減れば即、工場稼働率が上がる。

 投資削減にも取り組んだ。ピーク時には年間1兆5000億円くらい設備投資をしていたが、償却負担などを考えると本来の実力値は年間7000億円くらいがいいところ。生産能力を増やしてきた過程で設備にもぜい肉が付いており、知恵を絞ってコストを下げながら、付加価値を生み出す正味の仕事の割合を高めるよう変えてきた。

 ジェイテクトに来てみて分かったのは、まだまだ現場には改善の余地がたくさんあるということだ。時々びっくりするような不良事例がある。不良率や工場の段取り替えに要する時間もトヨタに比べけた違いに多い。

 取引先の中小企業の実情も見えてきた。中小では残念ながら改善のための技術や資金がない。今ちょうど景気が上向きになり、投資減税の制度もできた。このときがチャンス。国内で再投資しなければいけない。中小企業にも成長を続けているところはある。そうした企業は金型から設備まで全部作ってしまう。よそにできない作り方をつねに考えて実現している。

 総じて日本の製造業はモノの作り方を変える必要がある。競争力を失った業界をみると共通のことに気づく。設備があれば世界中どこでも同じ材料で同じものが作れるようになった業界ということだ。すると労務費やエネルギーコストや法人税などが高い日本は勝てない。つねに海外の上を行く生産性、生産技術の革新をする必要がある。

 【日本は技術立国しかない】
 やはり日本は技術立国で行くしかないだろう。自動車だって豊田喜一郎が最初に作りはじめたときは特殊鋼や工作機械まで全部自前で作った。それらがみんな今トヨタグループとして残っている。これだけ産業基盤がそろった国はそうない。

 重要なのは新しい作り方で新しい商品や市場を生み出すこと。既存の市場を蹴散らすと文句を言われるが、自分で市場を作れば文句は言われない。トヨタで言うとハイブリッド車(HV)。車以外にも航空機や医療介護、エネルギー、食料と有望な産業は多い。いかに新しい商品を作ってあつれきのない輸出をするか、さらに内需を拡大するか。それを支える技術力は日本にある。
 
《ニュースイッチ by 日刊工業新聞》

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