増加する醸造用ブドウの自社栽培、ブランド力強化以外にもワケが 画像 増加する醸造用ブドウの自社栽培、ブランド力強化以外にもワケが

インバウンド・地域活性

 関東農政局が全国のワイナリーに行った実態調査で、ワイナリーが近年、自社栽培の面積を拡大していることが分かった。自社農場の方が、契約先の農場よりも若い木の割合が高い。「自社栽培」がブランドになるという前向きな理由だけでなく、契約農家の高齢化・減少を理由に原料の安定確保ができなくなっている現状も浮き彫りにしている。


 醸造用ブドウの主な生産地の山梨、長野を管内に持つ関東農政局が7月、全国230超のワイナリーを対象に調査を実施。全体の85%に当たる197から回答を得た。


 ワイナリーの使う醸造用ブドウは、契約栽培が48%、市場や農家からの買い取りが37%と多く、農地を所有・貸借する自社栽培は13%にとどまる。


 一方、ワイナリーは近年、自社栽培の面積を拡大しているとみられる。それを表しているのが樹齢で、自社農場の78%は15年以内に植えられたブドウが占めた。このうち5年以下も26%あり、拡大・更新への意欲が旺盛だ。ブドウは約5年で収量が安定するとされ、「今後ワイナリーの自社農場の収量増が見込まれる」(農政局)という。これに対し契約栽培農場は、15年以内は39%だった。


 自社栽培に取り組む理由を複数回答で聞いたところ、ブランド力の向上や原料の安定調達、高品質のブドウ生産という回答の他に、農家の高齢化も理由に挙がった。契約栽培の課題としても農家の高齢化の他、醸造専用品種など新しい品種を造る農業者がいないことや、求める品質の原料が確保できないことが課題に浮上している。


 醸造用ブドウの約9割が、同一都道府県内で醸造されていることも分かった。農政局は「地域産業の振興に貢献」と醸造用ブドウの役割を評価する。


 農水省はワインの需要が今後増えることを見込み、国産のブドウを使って国内で醸造する「日本ワイン」の生産拡大を進める。国税庁の調査では、国内のワイン出荷量のうち輸入が7割で、国産は3割。国産ワインのうち国産原料を使うのはわずか2割だ。国産原料を多く使うようになれば、地域活性化や耕作放棄地の抑止にもなるとみる。


 今回、公表したのは中間報告。最終的な調査結果は、10月31日から東京の国立科学博物館で開催するワイン展で紹介する。
日本農業新聞

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