渋谷区の 渋谷区の"世界一汚いトイレ"、なぜ日本トイレ大賞をとれた?

インバウンド・地域活性

 東京都渋谷区の「公衆トイレネーミングライツ事業」が、政府の創設による「日本トイレ大賞」の女性活躍担当大臣賞を受賞した。同事業は2009年度から始めた事業で、企業からスポンサーを募り公衆トイレの美化を進める。契約期間は最短3年、契約金額は年間10万円以上。渋谷区には「世界一汚いトイレだ」と観光客から手紙がきた経験もあり、こうしたイメージを払拭したい考えだ。

 若者でにぎわう原宿・竹下通りの終点。ひときわ目を引くのは「神宮前1丁目スシニンジャトイレ」だ。「スシニンジャ」は、すしと忍者を組み合わせた海外向けアニメキャラクター。アニメーション企画プロデュース会社のジェンコ(東京都港区)が手がける。

 ネーミングライツは「キャラクターをPRする仕掛けの一つ」と真木太郎社長。年間300万円の契約料を支払った。外国人観光客が多い竹下通りでインバウンド効果を狙い、今後は商店街で関連グッズも販売する。下水道やビルの配水管の維持管理を行う管清工業(東京都世田谷区、長谷川健司社長)は、恵比寿駅西口公衆トイレを「恵比寿KANSEIトイレ」と名付け、自社技術を駆使して清掃・維持管理まで取り組む。年間契約料は135万円で、装飾・内装に590万円を施した。

 当初、カビや油汚れがひどく、根本から分解する「モス工法」に59万円、超撥水でタイル目地への排泄(はいせつ)物含浸を防ぐ「Dコート」に98万円かけた。年4回の定期清掃では排水管内を高圧洗浄機や電動フレキシロッダーで汚れを除去する。3年間で清掃費28万円、点検費211万円を計上する。

 「排水管を定期清掃する公衆トイレは他にないだろう」と澤谷善政排水事業部長。当初は「区役所や商店街との交渉や手続きに負担を感じていたが、慣れてきた今はずっと続けたい」と話す。

 トイレの維持管理を行うアメニティ(横浜市神奈川区、山戸伸孝社長)は、「区役所前トイレ診断士の厠堂」を手がける。契約時に約264万円(契約料10万円を含む)を初期投資した。月々の維持管理費は4万2000円。自社製品の消臭剤や自動水栓、自動手指乾燥機、便座除菌クリーナーを設置した。契約更新時にはLED照明の付け替えやガラスコーティングなどで200万円を追加投資した。

 この取り組みがきっかけで横浜市から問い合わせがあり、11年に新横浜駅前公衆トイレにも「トイレ診断士の厠堂」を命名した。同社のフランチャイズ加盟店も京都市や埼玉県和光市でネーミングライツ事業に取り組む。「11年から渋谷区役所のメンテナンスを手がけている。ネーミングライツによって会社全体の価値も上がった」と同社企画室の内田康治次長は話す。

 渋谷区には道路上に設置された公衆トイレが14カ所あり、年間清掃費は約1500万円に上る。これとは別に区内125公園に70カ所のトイレがある。募集の狙いは財源確保と考えられがちだが、実際には区の一般会計に組み込まれ、トイレの環境改善費用に直接充てるわけではない。「区レベルでは考えつかない、民間企業からの清掃役務や施設改善など付帯的な提案力を求めている」と渋谷区土木清掃部の担当者。限られた予算内での環境改善には民間企業の役割が欠かせない。
(文=高島里沙)

東京・渋谷区の"世界一汚いトイレ"が日本トイレ大賞をとれたワケ

《ニュースイッチ by 日刊工業新聞》

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