薬用作物トウキの未利用部分で和菓子や飲料 画像 薬用作物トウキの未利用部分で和菓子や飲料

インバウンド・地域活性

 薬用作物トウキ(当帰)の葉や茎を使い、和洋菓子や飲料などを商品化する動きが出てきた。生薬になる根ではなく、それ以外の部分を有効利用するのが特徴だ。生薬の原料だけでは採算性が低いことから、漢方産業化推進研究会(東京都千代田区)は「葉や茎が収入源になれば、薬用作物の栽培が広がる」と展望する。

・農家所得向上に期待

 奈良県生駒市の中華料理店「桂花」。県産「大和当帰」の葉を使った天ぷらやゼリー、魚料理などに加え、昨年6月から加工品作りに乗り出した。葉を乾燥させて粉末にし、トマトクッキーや炭酸飲料、ドレッシングなど10種類を商品化した。県内の百貨店やホテルに出荷し、店でも販売する。小倉聡社長は「健康を意識する主婦層に人気で、売り上げが伸びている」と話す。

 農家から昨年、トウキの生葉を50キロ仕入れた。仕入れ値は100グラム300円。小倉社長は「大和当帰の根っこは生薬の原料になるが、葉や茎は換金性がなかった。葉や茎の用途をつくれば、農家の経営向上につながる。今年は仕入れ量を10倍に増やしたい」と説く。

 10ヘクタールで柿やキャベツなどを生産する他、20アールで大和当帰7000本を栽培する同県五條市の益田農園の益田吉仁さん(39)は「根や葉の出荷を通じて採算が取れれば、面積はいくらでも増やせる」と歓迎する。

 同県高取町の農業生産法人ポニーの里ファームも葉を使い、「焙煎(ばいせん)大和当帰葉茶」や「香塩」、入浴剤、ジュースなどを商品化している。「香塩」の今年の販売目標は1000本(1本35グラム、700円)だったが、既に上半期で達成した。営業担当の保科政秀さんは「さらに10品目の新商品を作りたい」と意気込む。

 同県は2012年、薬草の栽培から商品開発までの事業化をサポートする「漢方のメッカ推進プロジェクト」を立ち上げた。今年7月には産官学が連携し「漢方のメッカ推進協議会」を設立し、大和当帰の利活用事業を進めている。

 富山県でもトウキの活用事業が動きだしている。富山市八尾町の老舗和菓子店「柳澤屋」は、葉を使った「あるいたらくがん」(1パック5枚入り=1200円、税別)を4月に発売した。3月の北陸新幹線開業も追い風に、人気を集めている。菓子匠の柳澤威臣さんは「トウキの葉を入れると甘味がまろやかになる。独特な香りもあり客に好評だ」とPRする。

 漢方産業化推進研究会の加藤一郎アドバイザーは「国内で生薬原料の薬草を栽培するには採算性が非常に低い。これらの取り組みで農家の所得向上につながれば、薬草栽培も普及しやすくなる」とみる。

薬用作物トウキ 未利用部分 茎葉の商品化着々

《日本農業新聞「e農net」》

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