公共施設の熱供給6割が木質バイオ、新たな雇用も 北海道下川町 画像 公共施設の熱供給6割が木質バイオ、新たな雇用も 北海道下川町

インバウンド・地域活性

 北海道下川町は、学校や農業関連の公共施設の暖房・給湯に使う熱エネルギーの6割を石油から木質バイオマス(生物由来資源)に切り替えた。これにより、石油代を年間1700万円減らせる。この削減分は、木質バイオマスボイラーの更新費用と子育て基金に充てる。農水省によると、公共施設の過半を再生可能エネルギー(再エネ)で賄う自治体は全国で初めて。
 全面積の9割を森林が占める同町では、町森林組合が中心となって伐採、植林・育成を繰り返す「循環型森林経営」に取り組んでいる。植樹する面積は年間40~50ヘクタールに上る。

 この森林資源をエネルギー自給に有効に生かすため、町は2004年から農業施設や公共施設に木質バイオマスボイラーを導入した。学校や役場、町営住宅、温泉の他、農業分野ではトマトや薬用植物の育苗施設、特用林産物栽培研究所で使う熱エネルギーに利用している。

 燃料となる木質チップは、JA北はるか下川支所など町内の燃料販売事業者でつくる協同組合が製造する。エネルギー自給力が高まってきたことを踏まえ、2015年度から公共施設で使うエネルギーの6割を切り替えた。

 森林資源を生かす町づくりは、新たな雇用の場も生み出した。特定非営利活動法人(NPO法人)などが森林療法や環境教育、ツアーなど森林利活用ビジネスの裾野を広げ、人口3500人の町に現在年間150人が移住するまでになった。

 移住者の一人、同町森林組合で働いている板橋太郎さん(37)は「持続可能な地域づくりに関われる環境は、移住者にとって魅力だ」と実感する。

 同町は18年度から再エネの固定価格買取制度を生かし、発電事業も始める方針だ。町バイオマス産業戦略室は「将来的には町内全域のエネルギーを完全に自給したい」と展望する。

 農水省など関係7府省は、同町を含む22地域を木質や家畜ふん尿などを活用した「バイオマス産業都市」に選定している。

 再エネに詳しい千葉大学の倉阪秀史教授は、下川町の取り組みを踏まえて「地域資源を有効に生かしたエネルギー自給が人口減少に歯止めをかけ、地域経済の活性化にも役立つことを証明している」と評価する。

公共施設の熱供給 6割が木質バイオ 新たな雇用も 北海道下川町

《日本農業新聞「e農net」》

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