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制度・ビジネスチャンス

衣服の機能 科学的に学ぶ場を

 デザインや快適性に加え、防災面など「子どもを守る」ことに配慮した制服を採用する学校が増えている。学生服に関わる企業でも、子どもの安全につながるさまざまな取り組みを行っている。学校では、人を守るという衣服の機能をどのように捉え、指導していくべきか、横浜国立大学の薩本弥生教授(被服環境学)に聞いた。

衣服の素材や構造
仕組みを正しく理解

 私たちが普段身に着けている衣服には、さまざまな機能があります。
 中高校生たちはファッション性を重視し、流行のデザインかどうかを気にするものですが、防災に役立ったり、暑さ寒さを軽減したりするなど、自分の身を守るという働きもあるのです。
 デザインとは違って、機能性に関わる部分は目に見えません。衣服の価値を正しく判断できる力をつけるためには、見えない部分の意味をきちんと知る必要があります。
 機能性を知る上で重要なのは、衣服の素材や構造、仕組みを科学的に理解することです。
 衣服は、素材から糸をつくり、それを織った布からつくられています。ポリエステルか綿かといった素材の種類に加え、繊維がどんな構造をしているか、さらにデザインも、機能性に深く関わっています。
 例えば、夏の暑さに有利なのはどんな衣服か考えてみましょう。
 人間は不感蒸散と発汗という働きによって体温をコントロールしています。繊維には、液体の汗を吸う吸水性と、水蒸気を吸う吸湿性という性質があります。
 大量に汗をかく場面では、汗を吸収して放出する機能が重要なので、吸水速乾性に優れたポリエステルが有利。汗をかくほどではないが湿気が高いときは、綿の良さが生きます。
 また、色による熱吸収率では、黒っぽい色よりも白のほうが熱を吸収しにくい。デザインでは、ゆったりして開口部の大きい服のほうが暑さには有利です。こうした特徴を知っておけば、場面に応じて衣服を使い分けることができます。
 繊維の吸湿機能は、衣服を着たときの温かさにも関連しています。空気中の水分は、繊維表面の親水基に吸着された後、別の水分子と結合します。このとき、水分子が持っているエネルギーが熱として放出され、着る人は温かさを感じるのです。
 この点に着目して親水基を持ったアクリレート系の合成繊維を混紡した繊維が、近年ヒットしている温かい肌着の素材として利用されています。
 冷暖房が普及した現代では、昔のように気候適応を衣服だけで担う必要はありません。しかし衣服による気候適応は、ポータブルで低コスト、かつ個人で調整できるという特徴があり、これからの時代ますます重要になっています。クールビズ、ウォームビズなどはその代表例です。
 こうした衣服の機能を学ぶ場として、家庭科の授業の充実を期待します。理科の学習内容との関連性もあるので、両教科の先生が上手くコラボすることが重要。理科で学んだことを家庭科で「身の回りの科学」として捉え直すことで、子どもたちは生活を豊かにする知識と技を身に付けることができるでしょう。
 身近な制服は、素材の特徴やデザインの工夫を学ぶ題材にもなります。「着る人を守る」という視点から制服の機能を見直すことは、制服への愛着を育むきっかけにもなると思います。
日本教育新聞

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