札幌・真駒内滝野霊園頭大仏、安藤忠雄氏設計で来春完成 画像 札幌・真駒内滝野霊園頭大仏、安藤忠雄氏設計で来春完成

インバウンド・地域活性

 建築家・安藤忠雄氏(東大名誉教授、安藤忠雄建築研究所)が設計を手掛けた「真駒内滝野霊園頭大仏」(札幌市)の工事が大詰めを迎えている。広大な墓地のシンボルとして置かれている高さ13.5メートルの石造の大仏の周りをラベンダーの丘で覆う計画で、丘が出来上がると外部からは大仏の頭だけしか見えなくなるため、「頭大仏」と名付けられている。来春には完成する予定だ。滝野霊園は、公益社団法人「ふる里公苑」(高橋敏彦理事長)が管理運営し、恵庭岳や野牛岳を遠望する敷地面積180ヘクタールの公園墓地。現在工事中の第3期計画が完了すると、墓石7万基という北海道最大規模の霊園になる。この広大な墓地のシンボルが大仏。霊園に入ると目の前に現れる。「長谷の大仏」として有名な鎌倉大仏(神奈川県鎌倉市)と同じ大きさがある。安藤氏はクライアントから、精神性のある場所として、ランドスケープを含めて整備してほしいと依頼された。
 安藤氏は広い原野に置かれていた大仏をラベンダーの丘で覆い埋めることにした。大仏回廊として、直径が底部で27メートル、上部で13.7メートルの円錐すい台で囲み、頭部だけを外部に見せる。それが「頭大仏」と呼ぶ理由だ。さらに、より精神性を高めるため、約135メートルの長いアプローチ(参道)をつくった。ラベンダーに覆われたこの長いアプローチを入ると、16.2メートル×61.2メートルの「水庭」を通り、さらに大仏に近づくと長さ約38メートルのトンネル通路に入る。天井はRC打ち放し折版構造。ひだ状になっているので、胎内回帰をイメージさせる。すると目の前に台座に乗った大仏が見える。しかしすべてが見えるわけではない。大仏は座禅の座り方である結跏趺坐けっかふざをしており、組んだ足の部分から胸の辺りまでしか見えない。下から仰ぎ見ることになる。安藤氏は「インドのアジャンタ洞窟群の石窟壁画やムンバイの東にあるエローナ石窟寺院の彫刻、中国の敦煌の仏像など、みんな下から仰ぎ見ることで神々しさがある」という。
 巨大な大仏回廊の空間は屋根に覆われていないため、雨や風、雪、雲の流れなど自然がそのまま入ってくる。そうした自然の移ろいが、大仏の表情をさらに豊かにしている。晴れた日は、天空からの光が満ちあふれ、神々しい。「頭大仏」を覆う広大なランドスケープには、ラベンダー20万株が必要。それだけの調達は難しく、ここでは工事着手前年から種をまき、1本ずつ育ててきた。現在、通路部分が完成し、ラベンダーの丘の土盛りが終わったところ。これからラベンダーの植え付けなど最終段階に入る。安藤氏は「頭大仏は外部からは頭しか見えない。冬は頭に雪が積もる。大仏全体が見えないから、見えないことによって想像力で見ることになる。北海道は広大で自然が美しい。その美しさの中に感性があり、それが新しい創造力を生む。感動は大きな力になり、生きる力になる。ここでは北海道でしかできないものをつくった」と話している。〈設計〉安藤忠雄建築研究所〈施工〉オータカ建設

真駒内滝野霊園頭大仏(札幌市南区)/安藤忠雄氏設計で16年春完成へ

《日刊建設工業新聞》

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