震災後、再開めざす農家の生産組織165新設 法人化は3割 画像 震災後、再開めざす農家の生産組織165新設 法人化は3割

インバウンド・地域活性

 岩手、宮城、福島3県の沿岸37市町村で東日本大震災の発生以降、津波被害を受けた農家が集まって設立した生産組織数が165件に上ることが日本農業新聞の調べで分かった。震災から4年半がたつ中、組織化して個人負担を減らし、営農を再開するケースが増えている。法人は56件と3割にとどまる。法人化を含め組織をどう安定させるかが課題となりそうだ。
 沿岸市町村に聞き取り調査した。県別では宮城の113が最多で、岩手30、福島22と続く。水稲を中心に園芸品目を取り入れた複合経営を展開する傾向にある。

 津波で農機を失った農家が自己資金だけで買い直すのは難しい。交付金を活用するには5戸以上の団体などの要件を満たす必要があるため、「再開を目指す農家が共同組織を設立している」(宮城県東松島市)。

 農地復旧に伴う基盤整備を契機に、地域内で農地集積の話し合いが始まり「農地の受け手を確保するため組織を発足する事例も増えている」(福島県南相馬市)という。

 福島県では、東京電力福島第1原子力発電所事故によって帰還困難地域に指定されている地域も多く、組織が発足したのは相馬、南相馬の2市にとどまった。

 一方、法人の数は宮城43、福島9、岩手4で、いずれも組織数全体の半分を下回る。「農地の維持を目的にした任意組織が多く、大半は法人化するかどうか未定」(岩手県大船渡市)、「農機の共同利用のための任意組織が多い。人材が充実している組織は法人化の検討も進みそうだが、簡単に進まない組織もある」(仙台市)という地域が多い。

 宮城県南三陸町の西戸地区は、農家34戸が参加して12年12月に西戸川営農組合を設立した。交付金で農機や野菜の出荷施設などを導入。計8ヘクタールで水稲や業務用ネギなどの複合経営を展開する。

 震災前は小規模の稲作農家が多かったが、交付金活用を契機に組織化した。30、40代の若手農家が5人も参加しており、来年度は経営面積を約20ヘクタールに拡大する。阿部寿男組合長は「経営基盤を強固にして若手にバトンタッチしたい。収益安定に向け品目の選定、法人化も考えたい」と構想する。(塩崎恵、宗和知克)

・法人化へ誘導を

 被災地の農業に詳しい東北大学大学院の伊藤房雄教授の話

 農機を導入するために設立した任意組織は、機械の更新時期を考慮しておおむね5年後を見据え、組織の在り方を考える必要がある。法人化は、資金を調達しやすくなるなどの利点があるが、経営の方針を明確にする必要がある。契約栽培や複合経営、大規模化によるコスト低減など、収益を確保する工夫も求められる。そうした経営に誘導するには行政やJAの支援が不可欠だ。

津波被災地で生産組織165設立 法人は3割どまり 東日本大震災から4年半 本紙調査

《日本農業新聞「e農net」》

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