緑茶に「萎凋」工程、消費拡大へ商品開発、静岡と鹿児島

インバウンド・地域活性

 茶産地の静岡、鹿児島両県が花のような香りのする緑茶の開発に動きだした。発酵茶作りの「萎凋(いちょう)」という工程を取り入れるのがポイントで、静岡は「第三の煎茶」、鹿児島は「萎凋香緑茶」と位置付けている。従来の緑茶にはない「香りの良い煎茶」という新しい茶種を作り出し、伸び悩む茶の消費拡大を狙う。 
 静岡県農林技術研究所茶業研究センターは、2014年から「第三の煎茶」の研究・開発に取り組みだした。イメージするのは、普通煎茶でも深蒸し煎茶でもない、ほんのり甘い花の香りのする緑茶だ。

 同センターは、茶商の間での「昔は山間部で作った茶に、何とも言えない良い香りの茶があった」との声をヒントに研究。発酵茶を研究する中で、山の茶の良い香りが発酵茶独特の「萎凋」の工程と関連していることに気付いたという。

 煎茶は、高温で蒸して酵素の働きを止める処理をするため、香り成分は揮発しやすい。若芽の香りやうま味を重視した製法だ。これに対し、発酵茶は、収穫した生葉をしおれさせ、静置・かき混ぜて香りを引き出す「萎凋」と呼ばれる工程がある。

 茶の機械化が進む以前は、茶葉を手作業で摘み取るため、時間もかかり、一晩静置して、翌日に製茶することが多かった。同センターの望月和男研究統括監は「昔は、知らないうちに程よい萎凋が行われていたこともあったようだ」とみる。

 緑茶の場合、萎凋で生じる香りは「萎凋香」と言われ欠点になる。同センターは、緑茶でありながら、軽い萎凋で良い香りを引き出した茶を「第三の煎茶」として開発中で、16年度に成果発表する予定だ。

 鹿児島県も「緑茶だけでは消費拡大に限界がある」として、県農業開発総合センター茶業部が特徴ある茶作りに力を入れる。開発したのが、収穫した茶葉を15度の低温で16時間程度静置することで適度な香りが出るという製茶技術だ。夏場は冷蔵施設に入れるか、生葉保管装置に入れて冷風を送るなどして軽く萎凋させる。

 この方法で製茶した「萎凋香緑茶」は、茶葉の見た目、水色ともグリーンであり、「緑茶」の新しい茶種として商品開発を進める方向だ。同部加工研究室の内村浩二加工研究室長は「花のような良い香りの茶には、ドリンクメーカーも興味を示している」と期待する。(近藤真規)

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《日本農業新聞「e農net」》

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