残暑消えた気候に、米や野菜の育成・出荷に打撃 画像 残暑消えた気候に、米や野菜の育成・出荷に打撃

インバウンド・地域活性

 まるで梅雨に戻ったよう――。連日の猛暑から一変、8月中旬以降、各地で低温と日照不足が顕著になってきた。秋雨前線の停滞と北東から冷たく湿った気流が入り込んだ影響で、太平洋側を中心に曇りや雨の日が多くなり、日照時間が平年の半分以下という地域が続出。産地からは米など農産物の収穫遅れや、生育への影響を心配する声が相次いでいる。

  8月31日の「やさいの日」。福島県のJA新ふくしまの農産物直売所「ここら」のバックヤードで農家からため息がもれた。日照不足で野菜がなかなか育たないからだ。特売を打ち出したが品数がそろわず、スペースが余る棚も出た。同日の売り上げは約500万円と、同月中旬のピーク時の3割弱。出荷に来ていた男性農家は「どんどん野菜を出したいが、収量が少ない」と嘆いた。

 農家は収量確保に余念がない。福島市鎌田地区でネギなど29品目を栽培する後藤茂樹さん(77)は「雨上がりにすぐ収穫できるよう、小まめに畑に足を運んでいる。仲間の不安は大きく、早くお天道様が見たい」。JAはホームページに水稲、野菜、果樹の管理方法を掲載、防除徹底を呼び掛け、「少しでも収量を確保したい」(営農部)と巡回指導にも力を入れる。


・困惑する農家

 影響は福島だけにとどまらない。千葉県のJAちばみどり営農センター銚子は、曇天続きでトマトの着色が進まず、出荷が遅れ気味だ。「キャベツやダイコンの作付けも遅れている」と心配する。

 栃木県のJAうつのみやは、トマトやナスなど一部野菜で出荷減に悩む。「例年なら残暑が厳しく暑さ対策を進めてきたが、今年は農家もJAの営農担当者も戸惑っている」。

 長野県内では、主力のレタスで斑点細菌病などの病害が発生。主産地のJA長野八ケ岳は「低温と湿害で植物の防御機能が落ち、病気にかかりやすい状況にある」(農業部)とし、農家に防除徹底を呼び掛ける。

 早生品種の米「こしいぶき」の収穫が8月下旬に始まった新潟県では、「晴天の日が少なく、収穫作業が進んでいない」(県農林水産部経営普及課)。主力の「コシヒカリ」の収穫は、10日ごろに始まる見通しで、早生品種の刈り取りが遅れれば、「コシヒカリ」の刈り遅れが心配される。

 九州では、6月~7月中旬まで長引いた雨の影響が尾を引いている。JA宮崎経済連は「ピーマン、キュウリなど夏秋ものは計画より1割以上、減る恐れがある」(園芸販売課)とみる。普通期水稲は分けつが進まず茎数が少なく、大豆の生育も遅れ気味だ。大分県も「作業が10日以上も遅れている。今月は防除が必要で天候が非常に心配」と不安を募らせる。 

・前線停滞続く

 8月下旬の日照不足は記録的だ。気象庁によると東北太平洋側で平年の19%と1961年の統計開始以降、最短。関東甲信も平年の34%と過去2番目の短さだ。9月1日までの20日間で宮城、福島、群馬、栃木、埼玉、茨城、千葉各県の日照時間は平年の3、4割しかない。気温も沖縄県を除き全国的に低く、特に福島県は平均気温が平年より2度程度、低い地域もある。

 こうした状況は12日ごろまで続く恐れがあり、同庁は「秋雨前線が停滞し、週末から沖縄を除いて雨や曇りが多くなり、近畿や中国、九州はかなりの低温となるだろう」(気候情報課)として、農産物の管理に注意を呼び掛ける。

低温、寡照・・・残暑消えた  生育遅れ 収穫進まず 

《日本農業新聞「e農net」》

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