【地方発ヒット商品の裏側】破綻しかけた老舗旅館を立て直す、IT化が生んだ“おもてなし”の新たな形 画像 【地方発ヒット商品の裏側】破綻しかけた老舗旅館を立て直す、IT化が生んだ“おもてなし”の新たな形

マネジメント

 リーマンショックで致命的に傾いた経営。その売り上げをわずか6年間で6割向上させた老舗旅館がある。神奈川県鶴巻温泉に2件残された温泉旅館のひとつ「元湯陣屋」。創業は大正7年。元々は三井財閥が接待の場に使っていた別荘だった。

 ただ、旅館の経営悪化はその数年だけの話ではなかった。そもそも初代のオーナーが本業としていたのは部品の製造業。旅館はそのお客をもてなすために購入したもので、利益については二の次だった。そのため一時は借入金が売り上げの3倍に及んだ時期もあったという。

 しかし、当時のオーナーが病没すると、間もなくリーマンショックによって本業としている製造業の株価も急落。元々が破たん寸前だった旅館は、一気に倒産の際まで追い込まれる。元湯陣屋はどうすれば生き残れるのか。その経営判断は前オーナーの息子だった、宮崎富夫氏(※崎の字は正式には旧字体)の手に委ねられる。

■ホンダのエンジニア視点で旅館を改革する
 経営を引き継ぐことになる前、宮崎氏は本田技術研究所に勤めていた。その基礎研究部門などにエンジニアとして8年間所属。もちろん、旅館の経営については全くの素人だった。

 しかし、会社員という視点から旅館を見ると、サービスを改善する余地は十分にあると思われた。中でも一番の問題だったのが、顧客満足度を向上させるための取り組み。顧客からのリクエスト、または何かのトラブルがあった際に、その連絡が旅館内で十分に共有されていなかった。

 一方で、経理に目を向けてみると、こちらでは大雑把な粗利の計算が目に付いた。例えば、1泊2食で1万円の宿泊客が来た場合、その内のいくらを料理に割くというのが明確に決まっていない。経費や原価率はその時々でバラバラで、それをPDCAのサイクルに落とし込むどころか、元になる情報もわからないような状況だった。
《丸田鉄平/H14》

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