【解決!社長の悩み相談センター】第14回:「源泉徴収」する側はいったい何をすればいいの? 画像 【解決!社長の悩み相談センター】第14回:「源泉徴収」する側はいったい何をすればいいの?

制度・ビジネスチャンス

今回の回答者:高橋昌也 税理士・AFP(フィナンシャルプランナー)

質問:
 先日、個人事業者として開業しました。源泉徴収(げんせんちょうしゅう)というものが必要だと言われたのですが、私は一体何をすれば良いのでしょうか?

回答:
 今回の話題は税務です。これから商売をする人はもちろん、実は商売だけでなく地域活動やボランティア活動を展開する上でもかなり大切なお話です。

 源泉徴収という漢字だけで読むとなんだか難しそうですが、その実態は天引きです。
 例えば私は税理士としてお客様から報酬を頂きます。そのときに請求額をそのまま頂くのではなく、一定の割合で天引きされた残額を受け取ります。

 10,000円を請求する場合、実際に私の手元に来るお金は8,979円となります。差額の1,021円は依頼主であるお客様にお預かり頂き、後で依頼主から課税庁へ納税してもらいます。この一連の事務作業を源泉徴収と呼んでいます。

 源泉徴収には義務者と呼ばれる人達がいます。給与や一定の報酬を支払う人達です。先ほどの例で言えば、私の依頼主は源泉徴収義務者(げんせんちょうしゅうぎむしゃ)と呼ばれることになります。

 源泉徴収義務者は、法人や一定規模以上の個人事業者などが該当します。細かな規定はここでは省きますが、それなりの規模で事業を行っている場合、基本的には源泉徴収義務者に該当していると思っていた方が良いと覚えておいて下さい。

 源泉徴収はどんな支払いにでも摘要される訳ではありません。社員に支払う給与や、一定の士業・芸能関係の出演料など特定の報酬が対象です。質問者が始めた商売で、この類の支払いがある場合には源泉徴収の対象となっているかもしれません。

 その場合には支払いからの天引きと課税庁への納税が必要になります。課税庁にいくつかの書類を提出する必要がありますので、最寄りの税務署か税理士などにご相談頂いた方が良いです。

 源泉徴収が少しややこしいのは、義務があるのが支払者である点です。

 また先程の例に戻って考えてみます。私が依頼主に10,000円を請求した場合、本来であれば依頼主は源泉徴収額である1,021円を天引きした、8,979円を支払わなくてはなりません。ところが誤って10,000円全額を私に振り込んでしまったとします。このようなミスをしてしまったとき、その依頼主は後で課税庁から次のような指導を受けることになります。

「あなたは源泉徴収の義務を果たしていません。1,021円を税務署に支払って下さい。」

 ここでのポイントは、私がしっかりと申告をしている、していないといった要素は関係がないということです。

 上の例でいえば、私がしっかりと10,000円の売上を計上し、適切に申告を行い、しっかりと納税を果たしていれば私の税金計算上、過不足はありません。ですが、私が適切な申告をしているとしても、お客様が源泉徴収の義務を果たしていなかったことは事実なので、その点は指導の対象となってしまうのです。

 源泉徴収を巡っては、この手のトラブルがよく起こります。本来であれば源泉徴収の対象であった支払いにも関わらずその義務を果たしていなかった。数年間そのまま過ごしてしまい、後でまとめて指導を受けた。税務署から言われた税額を仕方なく納めたが、いまさら支払った先には請求もできない……仕方がないので全部自分で負担することに。

 源泉徴収税額は、それなりの期間ともなると結構な金額になります。日常的な資金繰りと併せ、かなり意識的に取り組まないと無用なトラブルを生む原因となりかねません。

 特に今後、源泉徴収はより厳密な対応が求められるようになる可能性が高まっています。
 その理由については次回の更新にてお話したいと思います。


<回答者のプロフィール>
高橋昌也:税理士・AFP。神奈川県川崎市に事務所を構える。
中小零細法人や個人事業主に関する仕事に特化。 顧客との定期的な面談等を通じて、税務、経理その他経営上の課題について話し合うことをモットーとしている。 趣味はアカペラ、立廻剣術ほか。地域の非営利活動にも従事。


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《高橋昌也》

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