新国立競技場、完成後の運営について議論が本格化 画像 新国立競技場、完成後の運営について議論が本格化

マネジメント

 新たな整備計画の検討作業が進む新国立競技場の建設プロジェクトで、完成後の運営・管理のあり方についての議論が今後本格化する。関係閣僚からはPFIやコンセッションなど民間活力による運営手法の導入を視野に入れ、収益力のある事業スキームを検討する必要性を指摘する声が出ているが、民間の意見が施設設計に反映されなければ、民間活力を十分に生かすのは難しい。設計・施工を担う事業者との調整も必要だ。限られた時間と予算の中での付加価値の高い施設づくりは難問となりそうだ。
 14日に政府が示した再検討の基本的考え方には、「(東京五輪)大会後はスタジアムを核として、周辺地域の整備と調和のとれた民間事業への移行を図る」と明記。近くまとまる整備計画などを踏まえ、施設運営に関するビジネスプランの公募に向けた検討を早急に開始する考えが示された。新競技場の民営化について、下村博文文部科学相は「(運営を)民間に委託することになれば、極端な制限をすることなく、できるだけ収益性を持たせて赤字にならないようにしないと民間事業者も出てこない」と指摘。競技場をビジネスとして十分活用できるよう、ビジネスプランを募る際にはメニューの幅を広げることが必要との考えを示している。
 整備計画再検討の一環で、駒沢陸上競技場(東京都世田谷区)と日産スタジアム(横浜市)を21日に視察した遠藤利明五輪担当相は、「どうやったら民間の皆さんが(運営に)参加してくれるか。設計、建築の段階から(ビジネスモデルが)考慮されているのが一番いい」との考えを表明。今後の設計・施工過程で、運営・管理を担当する民間側の意見が取り入れられる可能性を示唆した。政府は、月内にも競技場の機能、工期、コストの上限などを示した整備計画を策定し、9月初旬をめどに設計・施工を一貫して担う事業者の公募手続きを開始する。
 これまで新競技場の建設プロジェクトを進めてきた日本スポーツ振興センター(JSC)は、発注者支援業務を担当する山下設計・山下ピー・エム・コンサルタンツ・建設技術研究所JVを除き、これまで設計や建設関連業務にかかわってきた企業への契約解除を通告済みだ。新たに選定された事業者は来年1月に基本・実施設計に着手し、同12月の着工、20年春の完成を目指す。発注者と事業者は設計の過程で価格などの交渉を行い、設計内容や費用の面で合意した段階で施工の契約を交わす。
 従来の計画では、開閉式の屋根を設置し、大会後にはスポーツ競技だけでなく、コンサートなどの文化イベントも開催する運営計画を描いていた。新たに定める整備計画では、競技機能に原則限定し、屋根は観客席の上部だけとする方針だ。デザインについても周辺地域の環境や景観との調和を図り、日本らしさに配慮するよう求める。
 事業者選定の募集条件や技術提案の審査・評価などを行う技術提案等審査委員会の村上周三委員長は、「周辺地域の環境や景観との適合性やバリアフリー機能、大会後の運営をどうするかなど、多くの要望をどのように建築に落とし込んでいくかが重要。安かろう、悪かろうではなく、成果物の質を担保しながら、完成目標に間に合うように進めていく」と話している。新競技場の設計・施工過程で、民間側が今後提案するビジネスプランとのすり合わせがどの程度できるかによって、大会後の運営ビジネスのあり方が左右されることになりそうだ。

新国立競技場/政府、民営化の検討着手へ/周辺開発との調和図る

《日刊建設工業新聞》

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