融雪システム、水位警報など骨太のIoT……エコモット代表取締役入澤拓也氏 画像 融雪システム、水位警報など骨太のIoT……エコモット代表取締役入澤拓也氏

IT業務効率

 スライドを84枚も用意して登壇したのは、IoTソリューションベンダーのエコモット代表取締役の入澤拓也氏。自己紹介から、作りたい未来までを語った。

 映画監督を目指し、札幌の高校卒業後に渡米した1999年は、ITバブル全盛期だった。「暑いところが苦手なので、何も考えず行ったシアトルでしたが、マイクロソフトの本社やAmazonがあって、とてもITが盛んでした。大学の図書館でみんながインターネットを使ってメールやチャットをしているのを見て、これは何なんだと思いました。それでパソコンを買ってインターネットを始めたのがきっかけで、映画はどうでもよくなり、インターネットにのめり込みました」。

 帰国後に入社したのがクリプトン・フューチャー・メディアだった。今やバーチャル・シンガー「初音ミク」を生んだ会社として知られている。入澤氏が入社したころは、映画の音楽を扱う輸入商社で、携帯電話の着信メロディの配信事業を担当した。「最初は面白かったのですが、お客さんの顔が見えなかった。もっとリアルにモバイルを使って世の中、人のためになることがしたい」と思い、2007年にエコモットを起業した。

 ICチップ内蔵の携帯電話の登場など、携帯電話によって世の中が変わっていく様子を間近に見てきた入澤氏は、将来これが当たり前になると思ったという。「モバイルで世の中のありようを変え、未来の常識を創る、ということを会社の理念としています。近い未来、それが当たり前になるような新しい革命的なモバイル製品を世に出し、人々の幸せに貢献します」と語るその鍵は「IoT」にある。

 IoT(Internet of Things)とは、モノがインターネット化し相互に通信し合う通信形態を指す言葉だ。例えば、自動販売機についた通信端末の情報により在庫管理や補充を効率的に行うことができる。エコモットでは、IoTを活用し、「見える化」を「安心」につなげるさまざまなサービスを展開している。その一つ、融雪システム遠隔監視ソリューション「ゆりもっと」は、雪の多い北国ならではのロードヒーティングサービス。駐車場にカメラを設置し、降雪のセンサー信号を携帯の電波を利用して自社サーバーに送信する。24時間体制で人の目で監視し、遠隔操作をすることでセンサーの無駄な反応や過剰運転が減り、灯油、ガス、電気などのコストが30%以上削減するという。現在は札幌と青森の1,200物件を取り扱っている。

 また、「現場ロイド」というソリューションは、ロードヒーティングの技術を応用し、「建設現場の見える化」を可能にした。通信機能を持たない計測器などに通信をつけることにより、川の水位が警戒値を越えた時や地すべりを警報で知らせ、現場の作業員の安全対策にも役立っている。これらを含むエコモットの全ての技術は、国土交通省のイントラネット及びインターネットで運用されるデータベースシステム「新技術活用システム(NETIS)」に登録されている。

 今一番力を入れているのは「Pdrive関連事業」で、運転状況を見える化し、事故を削減するソリューションだ。1件の重大な事故の背景には29の軽微な事故とさらにその背景に300のヒヤリハットがあるという、ハインリッヒの法則になぞらえて解説をする。

 「2013年の国内の交通事故者数は4,373人、北海道では約200人の方が亡くなりました。300件のヒヤリハットを見える化し、それを教育指導することで事故率を下げようというのがPdriveのソリューションです。通信機能がついたドライブレコーダーを車に搭載し、情報をサーバーに送り、遠隔でモニタリングする。加速度センサーを付けることで危険度が高い急ブレーキ、急ハンドルといった一瞬の映像を動画で送ることで、会社が社員に注意をすることができます。動画を見せて怒るので、とてもわかりやすい。見られている感もあるので、同じことは繰り返さない」

 スライドでは、エゾシカをよけようとして急ブレーキを踏んだ時に記録された画像も紹介された。ものづくりがしたくて起業したという入澤氏にとって、ドライブレコーダーや加速度センサー、GPSといった端末も自社の工場で作っているというのは、嬉しいことの一つだという。

 その他にも、ソーラー発電所の監視、電力のモニタリング、高速道路の橋の維持管理、橋梁のひずみ計測、農業の温度管理、エゾシカの捕獲にも自社の技術を活用している。人の安全を守るため、危険な場所に設置されることも多いだけに「海象観測のために防波堤に高画質遠隔カメラを設置しましたが、波にさらわれてしまったという事もありました(笑)」とも。

 今まで見えなかったものが見える化することで、価値を生むというのは非常に難しいが、IoT化は、命を守ったり、生活を豊かにすることもでき、社会のインフラであると入澤氏は考えている。最後に作りたい未来について、思いを語った。

「いま私がやりたい事は、あらゆる山や道路で土砂崩れや地すべりの危険を察知し、警鐘すること。こういうセンサーは高いので、簡単で安価に何か知らせることができないかと思っています。また、あらゆる港にはソーラー式の緊急地震パトライトをつけたい。海や川の水門は遠隔で操作でき、非常時の出勤は必要なく、携帯電話から簡単に操作ができる。無駄なガソリンを使わない、あらゆる車輌のモバイル化で交通事故を無くす、ということも考えています」

 会場からは、土砂災害への具体的な対策についてや、北海道の一次産業へのモバイル活用の可能性についても質問があった。身近なものだけに、モバイルの力で世の中はどこまで変わるか、期待したい。

【楽しい100人 Vol.14】IoTの可能性を信じて人の役に立ちたい……エコモット代表取締役入澤拓也氏

《RBB TODAY》

編集部おすすめの記事

特集

IT業務効率 アクセスランキング

  1. NHK『超絶 凄ワザ!』の対決に初めて参戦した国の機関とは?

    NHK『超絶 凄ワザ!』の対決に初めて参戦した国の機関とは?

  2. 【ITで攻めの農業:3】圃場のクラウド管理で一等米を増産!

    【ITで攻めの農業:3】圃場のクラウド管理で一等米を増産!

  3. ドローンのモーターは中国製ばかり、ツカサ電工が防水・防塵で勝負

    ドローンのモーターは中国製ばかり、ツカサ電工が防水・防塵で勝負

  4. 大断面山岳トンネル工事、月進270メートル達成!過去最長記録!!

  5. ガンダムまであと一歩?全長4メートルの人型ロボット登場!

  6. 「黒子ロボット」技術を応用した「仏像ロボット」公開!

  7. 国土地理院のツイッター投稿が反響。西之島測量作業を発信、リツイート700件に

  8. 【定額制ビジネスに勝算あり:1】ワイシャツレンタル、会社員ニーズを掴む

  9. 10人以下の小規模事業者に対応した安価なオフィスセキュリティ

  10. すばらしきドローン 現場はこう変わった!(建設会社編)

アクセスランキングをもっと見る

page top