【つくばエクスプレス開業10周年-沿線開発の歩み・4】ものづくり施設の整備に力点……茨城県つくば市長・市原健一氏 画像 【つくばエクスプレス開業10周年-沿線開発の歩み・4】ものづくり施設の整備に力点……茨城県つくば市長・市原健一氏

インバウンド・地域活性

 国内最大の研究・教育拠点の茨城県つくば市。日夜、各分野の技術者が最先端の技術開発にしのぎを削る一方で、市内には自然豊かな田園風景が数多く残っている。つくばエクスプレス(TX)の開業以降は、駅周辺に集合住宅や商業施設などが建設されたほか、市主導の施設整備も増加。市原健一市長は「TXの開業が、本当の意味でつくば市の街づくりのスタートになった」と振り返る。

 --TXの駅周辺での開発が活発だ。

 「開業前は、TXの駅の周辺に建物は何もなく、平地林や畑が広がっているだけだった。TXの整備と共に進められた土地区画整理事業で道路が通り、インフラが整備されたが、本当に街ができるかどうか、素朴に疑問を抱いたものだ。しかし、TXの開業後は乗降客が毎年予想を上回るペースで増え、駅周辺にマンションや一戸建て住宅、複合商業施設が整備され、目に見えて街の姿が変わった」

 --TXの開業前後の変化は。

 「定住人口はずっと年間約2000人のペースで右肩上がりに増加していたが、TX開業前は年間1000人程度に鈍化していた。開業後の10年間で市内の人口は約3万1000人増えたので、年間平均で3000人ずつ増加したことになる。TX開業で勢いを盛り返した形だ」
 「市全域に当たる筑波研究学園都市は、そもそも国と都市再生機構が中心となって計画的に整備した街だ。TXの開業後は、市が市庁舎の建設や駅のリニューアル工事など駅周辺で拠点施設の整備を行ってきた。そういう意味で、TXの開業を契機に街づくりの主体が国などから市に移ったと言える」

 --開発が進んだことで生まれた課題は。

 「土地区画整理事業に伴って開発された新たな住宅には転入者が多いため、旧村の住民との交流が課題となっている。公共事業を実施するにしても、新しい住宅地と旧村地帯では状況や住民の価値観が異なるため、要望も違えば、行政側の対応も異なる。例えば、児童が急増しているTXの研究学園都市駅周辺は学校の整備が必要だが、市の南北にある旧村では、過疎化が深刻で、学校の統廃合が行われている。都市化、過疎化が進む地域が市内に同居しているため、相反する事業を同じウエートで行わなければならない」

 --今後の街づくりの方針は。

 「これまでつくば市は、『科学技術の街』として多くの方々に理解されてきたが、その技術が街づくりにどう関係しているか、目に見える形が無かった。TXの開業以降、行政と各研究機関の連携が進み、国家戦略総合特区やロボット特区、環境モデル都市などに認定された。道半ばだが、地場の新たなものづくり企業の育成に力を入れる。環境モデル都市として、低炭素型の地域づくりも進めたい。これまで、ハード面の施策は老朽化した施設への対策が中心だったが、今後は新たなものを作り出す施設整備に力点が移っていくだろう」。
日刊建設工業新聞

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