「残業が無制限にできてしまう」規定見直しを……建設業界に広がる声 画像 「残業が無制限にできてしまう」規定見直しを……建設業界に広がる声

マネジメント

 建設業で残業が無制限にできてしまう労働基準法の規定を見直すべきではないかとの声が、業界関係者の間で広がっている。労使間で締結する時間外労働に関する協定「36(さぶろく)協定」について厚生労働省は、1カ月当たり45時間などの上限を告示で定めているが、建設は「適用除外」業種の一つで、これが超過勤務を招いているとの指摘がある。産業間で激化する人材獲得競争を勝ち抜くためにも、他産業並みの時間外労働のルールが必要との声が強まっている。厚労省の告示では、労働時間の延長に上限がない適用除外業種として、▽工作物の建設等の事業▽自動車の運転の業務▽新技術、新商品等の研究開発の業務▽厚労省労働基準局長が指定する事業または業務-の四つが列挙されている。建設業については、工事の受注量が変動しやすく、作業が天候にも左右されやすいことから、時間外労働に一定の上限を設けることが難しいというのが適用除外の理由とされる。
 適用除外の規定は、施工を担う現場だけでなく、管理部門なども同様の扱いになるため、本社勤務の職員を含め、深夜残業や休日出勤を常態化させる一因にもなっているとの指摘がある。事業の特殊性を理由に無制限に残業が行われることを許容する適用除外規定について、ゼネコン各社の労働組合でつくる日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)は「法的欠陥」と指摘。日建協の上部団体に当たる連合は、建設業を適用除外業種から削除することを政策課題の一つに掲げて活動を展開してきた。ただ、「月に60~80時間の残業を行っている現状のまま、他産業と同等のルールを敷かれれば、逆に(違法労働を強要する)ブラック企業の存在を助長しかねない」(関係者)との見方もある。日建協が適用除外規定の撤廃という直接的な行動に踏み込む前に、土曜閉所運動などを含めた「時短推進活動」に優先して取り組んでいるのにはこうした背景がある。
 まずは時短運動で全体的な労働時間を減らし、その上で適用除外規定を削除することができれば、制度上は他産業と同等のルールで働く環境が整うことになる。深夜残業や休日出勤の常態化など、将来を担う人材を確保する上でネックとなる建設業の「働き方」を改善するきっかけになるとの期待も大きい。問題は、建設事業に適用した場合に、工期が延びたり、コストに跳ね返ったりした分をどう吸収するかだ。業界内には「それらを見越した発注をお願いしたい」といった声が上がる。工事を発注する側が、時短という業界のニーズにどう応えていくかも問われることになりそうだ。

時間外労働の上限、「適用除外」見直しを/業界が要望、他産業並みルール求める

《日刊建設工業新聞》

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