野菜茶業研究所が“人工土壌”を開発!多孔質素材で微生物活性化、地力回復など応用に期待 画像 野菜茶業研究所が“人工土壌”を開発!多孔質素材で微生物活性化、地力回復など応用に期待

インバウンド・地域活性

 農研機構・野菜茶業研究所は、多孔質素材のウレタンなどを使い人工的に土壌をつくる土壌化技術(ソイライゼーション)を開発した。「土壌化培地」と呼び、農地土壌と同じ有機物から植物に養分を供給する機能を持つ。野茶研によると、有機質の分解能力を持つ培地の土壌化は世界初。特許を取得し、企業と連携して実用化を目指す。
・有機質分解し養分供給

 土壌化技術は、野茶研が開発した「有機質肥料活用型養液栽培」を活用している。水中に硝化菌など有機物を分解する微生物を住まわせ、有機質原料から植物に養分を供給する仕組みだ。

 野菜IPM(総合的病害虫・雑草管理)研究グループの篠原信主任研究員は「土壌は微生物の働きで、有機物から養分を供給して植物が育つ」と説く。良い土壌は、団粒構造で微生物が多く住みつき、有機物を素早く分解して植物を育む力が大きい。しかし、堆肥など有機物を施し、土づくりに時間が掛かる。

 土壌化は、ウレタンやロックウールなど穴の多い素材を団粒構造の培地とし、同養液栽培で使う培養液を添加する。カツオの煮汁や固形有機質肥料と水を与え、2週間ほど微生物を培養すれば、土壌と同じ機能を持つ土壌化培地ができる。

 トマトであれば1株2リットル以上の土壌化培地で栽培できることを試験で実証した。他の作物でも有機質肥料で生育は良好だという。水分管理がしやすく、トマトなら高糖度化が可能。水耕栽培でみられる鉄などの養分欠乏は、起きにくいという。

 篠原主任研究員は「メカニズムは不明だが、土壌と同じように根が培地にしっかり絡まることで、根の機能が発揮するのではないか」とみる。

 何年も栽培を続ければ連作障害の恐れがある。篠原主任研究員は「対策には培地を取り換えればいい。輪作や圃場(ほじょう)を変えなくても済む」と説明する。軽い培地を選ぶことで女性や高齢者が扱いやすい。ただ、木質培地などは分解されることもあり、ウレタンや薫炭などの素材を選ぶ必要があるという。

・地力回復など応用に期待

 土壌化技術では、培地にできる微生物相などが分かる。篠原主任研究員は「食料生産の基本は土壌。この技術で土と微生物の組み合わせなどを解明して、効率の良い土づくりや、疲弊した土壌の回復技術につなげたい」と話す。(鹿住正人)

“人工土壌”を開発 多孔質素材で微生物活性化 地力回復など応用に期待 野菜茶業研究所

《日本農業新聞「e農net」》

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