「下町ヒコーキ」に挑む東京・墨田の町工場、製作通じて企業交流も 画像 「下町ヒコーキ」に挑む東京・墨田の町工場、製作通じて企業交流も

インバウンド・地域活性

東京都墨田区内の町工場の“職人”が中心となり、有人の小型飛行機を製作するプロジェクトが進められている。2014年3月からスタートし、週1日3時間のペースで有志十数人が集まって取り組む。完成はまだ先だが、プロジェクトの会長を務める吾嬬製作所(東京都墨田区)の松村昌幸専務は「自分たちが作った飛行機が飛ぶ姿を見たい」と、大空に飛び立つ日を夢見ている。「地域活性化のきっかけに」 毎週水曜日の夕方18時―。すみだ中小企業センター(東京都墨田区)の一角に1人、また1人と“職人”たちが集まってきた。本業は真空成形、IT、照明、自動車関連などさまざまな業種に就き、終業後に有志団体「ヒコーキやろう」のメンバーとして製作している。 彼らが製作する小型飛行機は、米ゼニスエアクラフトの製作キット「STOL CH701」だ。製作キットとはいえ、ほとんどの材料はプロ級の加工が必要なものばかり。手引書はすべて英語、図面もメートル法でないなど厳しい条件の中で、水平尾翼にアルミ合金をかぶせたり、胴体部に穴あけしたりする細かい作業に格闘している。 製作のきっかけはソネット(東京都墨田区)の小林博昭社長が、十数年前に好奇心から製作キットを購入したこと。キットは約12メートルのコンテナで運ばれてきたという。「仕事が忙しく、しばらく手をつけられなかった」が、すみだ中小企業センターの相談員に相談、有志を募って製作プロジェクトがスタートした。区内の町工場が減っている現状に対し「地域活性化のきっかけを作りたいという思いがあった」と話す。大空への夢 「STOL CH701」は短距離離着陸機(STOL)で、時速40キロメートルから離陸を開始でき、約27メートルの滑走でテイクオフが可能。離着陸のために長大な滑走路を必要とせず、墜落の危険性も少ないという。小林社長は「災害時の物資供給や救助などにも役立つ可能性がある」と話す。 「実際に製作を通じて、新しく企業交流が生まれている」と、すみだ中小企業センターの土井修典相談員。松村専務は参加者の様子を「当初は英文の図面や単位の違いに戸惑ったが、日頃からモノづくりに携わっている参加者が多いため、工程を経ていく度に要領を得てきている」と語る。 東京電機大学理工学部3年の佐藤由(たすく)さんは、土井相談員から話を聞き、興味をもったことから製作メンバーに加入した。佐藤さんは「普段の授業では経験できないし楽しい」と話す。 飛行機の完成時期は未定。完成後、どこに保管するか、どこで飛ばすかなど、さまざまな課題もある。それでも“職人”たちは自作飛行機が飛び立つ日を夢見て、きょうも作業に取り組む。

「下町ヒコーキ」に挑む東京・墨田の町工場

《ニュースイッチ by 日刊工業新聞》

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