「中小企業の《経営論》」第9回:二代目、三代目経営者だからこそできること 画像 「中小企業の《経営論》」第9回:二代目、三代目経営者だからこそできること

人材

 中小企業白書の中に“企業の生存率”という統計があり、これによると、企業の創設10年後にはそのうちの約3割が、20年後には約5割が撤退しているということでした。“企業の寿命30年説”などというものもありますが、いずれにしても、事業を長く継続することは、なかなか厳しいということでしょう。

 その一方、日本は世界一の長寿企業大国と言われ、創業百年以上の会社が約2万社、さらに二百年以上が約1200社あるそうです。当然ですが一人の経営者だけでは実現できるはずはなく、何代にも渡って経営をつなぎ、事業を継続していることは本当に素晴らしいと思います。

 中小企業における最近の大きな経営課題の一つに、この事業承継の問題があります。中小企業経営者の平均年齢は上昇傾向にあるそうですが、スムーズな経営者交代が行われている企業はそれほど多くないようです。「後継者がいない」という理由での廃業という話も聞きますが、とても悩ましい問題だと思います。

 こんな中で、私は人事コンサルタントとして中小企業の支援を行っていますが、ここでの創業社長からのご依頼というのは実は意外に少なく、逆に創業者と直接接してきた二代目、三代目経営者の方々と関わる機会は比較的多いです。

 やはり創業者は、自分の考えや判断に基づいて行動する姿勢が強く、よく言えば芯がある、悪く言えば頑固という面があります。これに対して二代目、三代目経営者は、もう少し柔軟性があり、いろいろな人たちの経験や知見を取り入れていこうというところがあります。あくまで一般論ですが、周りの意見を聞こうとする姿勢は創業社長より強いので、私たちがお手伝いする機会も多くなっているのではないかと思います。

 二代目以降の経営者の良くないイメージとして、創業者が作り上げた会社を単に引き継ぐだけの恵まれた環境で、大した能力もないまま社長の地位に就き、無能な経営で会社を潰してしまうというような極端なものがあります。

 しかし、実際の二代目、三代目経営者に、そんな人はほとんどいません。むしろ創業社長が作った環境を引き継ぐがゆえの難しさを抱えながら経営に向き合わなければならないことが多く、様々な工夫と試行錯誤をしながら経営にあたっています。

 私が見ていて思うのは、二代目、三代目経営者の方が、創業者より良い経営をしていると感じる場面が、意外に多いということです。
《小笠原隆夫/ユニティ・サポート》

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