未来を築く地域発イノベーション!静岡県、機能性食品開発プロの成果着々 画像 未来を築く地域発イノベーション!静岡県、機能性食品開発プロの成果着々

インバウンド・地域活性

【品質高め海外市場開拓】

 静岡県と県内企業、大学などが取り組む「フーズ・サイエンスヒルズプロジェクト」の成果が出てきた。機能性食品の開発を目指すこのプロジェクトは2002年に開始、137件を製品化した。15年度からは5カ年の第2次戦略計画がスタート。より機能性が高い製品の開発と、海外市場の開拓を目指す。

 静岡県内には茶や水産物など食品関連企業が多い。13年の食料品と飲料等製造品出荷額の合計は約2兆2000億円で全国1位だ。

 フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトには県と、県中部の静岡市など5市、県内の500の企業、静岡県立大学など3大学が参加。09年に中核支援機関となる静岡県産業振興財団(静岡市葵区)に「フーズ・サイエンスセンター」を設置した。

 成果の一つとして、焼津水産化学工業と静岡県大、静岡大学、静岡県工業研究所が、茶に含まれるポリフェノールの一種「テアフラビン」の新たな生理機能を明らかにした。その一つがインフルエンザウイルスを不活性化させる機能。飲料原料として発売しており、食品開発も目指す。

 水産加工品を手がけるシーラック(静岡県焼津市)は、かつお節を加工したおつまみ「バリ勝男クン」を11年に発売した。バリ勝男クンシリーズ「静岡おみやげわさび編」は「若者にかつお節を食べてもらいたい」(望月洋平社長)と法政大学の学生と共同開発した。日幸製作所(同沼津市)は沼津工業高等専門学校と、井戸水に水素ガスを充填した缶入り水素水を開発した。

 第2次戦略計画では新たに100件の開発を目指す。さらに機能性表示食品の開発を支援するため、フーズ・サイエンスセンターが静岡県大と連携して科学的根拠を証明するほか、届け出申請もサポートする。

 海外市場も開拓する。5月には韓国・ソウル市で開かれた食品関連の展示会に、フーズ・サイエンスセンターと焼津水産化学工業がテアフラビンを共同出展した。「世界に注目される製品の開発を目指す」(篠原清志静岡県経済産業部長)と今後も世界各地の展示会に出展する考えだ。
  【事例/焼津水産化学工業、紅茶色素の分離・精製技術を確立】

 焼津水産化学工業は静岡県の「フーズ・サイエンスヒルズプロジェクト」を通じて、紅茶に含まれる赤色色素「テアフラビン」の新たな生理機能を明らかにした。さらにテアフラビンの分離・精製技術を確立。飲料原料として4月に発売した。

 テアフラビンはカテキン2分子から生合成されるポリフェノールの一種。同社は2009―13年に科学技術振興機構(JST)から補助金を受け、静岡県立大学、静岡大学、静岡県工業技術研究所と共同研究を始めた。

 その結果、インフルエンザウイルスを不活性化する効果が通常のカテキンの15倍以上あると世界で初めて明らかにした。
 さらにカテキン類には認められない血流改善効果や、虫歯原因菌・歯周病原菌に対してカテキンよりも強い抗菌作用もあることがわかった。

 焼津水産化学工業はテアフラビンを飲料原料として販売するほか、含浸させたマスクを8月に県庁の売店などで発売。5年後にマスクの売上高5億円を目指す。今後は6月に「フーズ・サイエンスセンター」に設置した「機能性素材活用研究会」を通じて「ユーザーと一緒に用途開発したい」(山田潤取締役)としている。

  【静岡県経済産業部長・篠原清志氏/世界で売れるモノづくりへ】
 「フーズ・サイエンスヒルズプロジェクト」の取り組みについて静岡県の篠原清志経済産業部長に聞いた。

 ―プロジェクトの狙いは。
 「静岡県中部地区にには食品関連の産業集積がある。地域の潜在能力を生かして、機能性成分を利用した食品の開発を目指している。県は成長産業の育成に力を入れているが、既存産業の高度化も重要だ。このプロジェクトを通じて県民の健康増進と地域経済の振興を進める」

 ―第2次戦略計画をどう進めますか。
 「そこそこ売れるものが出ているが、反省点もある。第2次計画の製品化の目標は、100件と数的には少ないと思われるかもしれないが、量だけでなく、もう少し質を高めたい。さらに、高度な機能性食品を開発し、世界で売れるものをつくりたい」

 ―今後の活動は。
 「4月にスタートした機能性表示食品制度に対応できる支援体制を充実させる。大学の研究者が国の助成金を獲得する時に県も支援していく。さらに商品開発にあたり、県の工業試験所の設備をもっと利用してもらえるようPRしたい」
日刊工業新聞

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