【流通ウォッチ】「袋詰め」鶏肉がトレーなしで採用広がる、エコと販促の一手 画像 【流通ウォッチ】「袋詰め」鶏肉がトレーなしで採用広がる、エコと販促の一手

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食品トレーを使わず、「袋詰め」にして精肉を販売する動きがスーパーや食肉メーカーで相次いでいる。ごみを減らしたいという、消費者の“エコ”意識に応えるとともに、需要を喚起する狙いだ。冷蔵庫での保管のしやすさも加わり、鶏肉で販売点数を伸ばすスーパーがある。自社工場で袋詰めにして販売する食肉メーカーは、ブランド力の強化につなげるなど、波及効果も期待する。
・コスト削減袋のまま保管、味付けも簡単小売り

サミットストア東中野店(東京都中野区)では、精肉売り場に並ぶ鶏肉の4分の3を袋詰めにして販売する。「少しでもごみを減らせる方が助かるのよ」。40代の主婦は、迷わず袋詰めされた国産鶏肉を買い物籠に入れた。

ごみの分別回収が一般化する中、使用済みの食品トレーを洗い、回収所に持ち込むのは主婦にとって煩わしさしか残らない。考えることは一緒。ごみを減らしたい――。こんな主婦目線から、サミットは包装容器の見直しに着手した。

現在、同社では店舗全体の約3割に当たる33店で袋詰めを扱う。食品トレーから切り替えた店では、鶏肉全体の販売点数が5~10%増えた。違いは包装以外になく、「ごみを減らしたい消費者のニーズを捉えた」(広報)とみる。包装資材が高騰する中、コスト削減効果というスーパー側の利点もある。

“エコ”以外に、保存性や使い勝手が良いことも支持を集める理由だ。東中野店で袋詰め鶏肉を買った70代の女性は、「安い時に買って、そのまま冷凍庫で保管している。解凍後に、塩こうじを入れて味付けするにも袋詰めは便利」と喜ぶ。透明な袋のため「トレー品より、脂身の付き方など肉の状態を確かめやすい」(50代の女性)という声もある。

・ごみ減量高い関心

袋詰め商品が、今後も消費者から支持される可能性は高い。環境省が2012年に実施した、スーパーの買い物客を対象にしたアンケートでは、回答した220人の8割以上が、ごみ削減に取り組むスーパーを「利用したいと思う」と答えた。

同省は「買い物など日常の行動を通じて、環境負荷を減らすのに貢献したいと考える層が増えているようだ」(廃棄物・リサイクル対策部)と推察する。

「1日1枚ずつトレーを減らすと、年間で大型袋9袋分のごみを減らせます」。スーパーの取り組みを支援するため同省は、ごみ削減の効果を売り場で示すそんなPOP(店内広告)を作り、データをウェブサイトで公開している。

・産地名アピールにも

密閉状態の袋に入った国産鶏肉が、精肉売り場にずらり――。7月、こんなテレビコマーシャル(CM)が、食肉業界で話題になった。広告主は食肉メーカー最大手の日本ハム。同社のブランド肉「桜姫」をアピールすることを狙った。「トレー品が売り場で多い中、袋入りの目新しさを打ち出したかった」(広報)と明かす。

「桜姫」の袋詰めの売り上げは前年比1.5倍で推移。工場から届いた精肉をトレーに詰め直す手間が不要な点が、スーパーから受けた。同社は「人手不足の時代に適した商品だ」と指摘。需要は今後も堅調に伸びると見込んでいる。

JA全農ぐんまの子会社の群馬農協チキンフーズ(吉岡町)がスーパーの西友向けに開発した袋詰め鶏肉は、今や「定番商品」だ。安価な輸入鶏肉の扱いがスーパーで増える中、ほぼ前年並みの出荷量を保っている。

袋詰めは産地にも利点がある。精肉を詰める袋も同社が用意するため、外装に製造業者名を印字して、産地名をアピールできる。通常のトレー品のラベルでは「国産」としか表示されない。同社は「社名を見て、群馬県産を選ぶ消費者が少しでも増えてほしい」と期待する。(細田勇治)

[流通ウォッチ] 「袋詰め」鶏肉 トレーなしで採用広がる エコと販促の一手

《日本農業新聞「e農net」》

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