健康経営でライフスタイルを変え新市場の創出……神奈川県のCHO構想 画像 健康経営でライフスタイルを変え新市場の創出……神奈川県のCHO構想

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 神奈川県は、超高齢化社会に対応すべく、「ヘルスケア・ニューフロンティア」という施策を進めている。7月27日、この施策の旗振り役である神奈川県ヘルスケア・ニューフロンティア推進局が「CHO構想コンソーシアム平成27年度第1回会議」を開始した。

 会議の開催にあたり、県知事の黒岩祐治氏が挨拶に立ち、「健康寿命を延ばすために、我々は未病という言葉にこだわってきた。神奈川から未病コンセプトを世界に広げたい。そこで企業から未病を着実に進めていくのが今回のCHO(Chief Health Officer=健康管理最高責任者)構想だ。神奈川県は国家戦略特区にも選ばれており、CHOに関してインセンティブを付けられるように、規制緩和の提案も行っているところだ」と述べた。

■CHO構想が持つ主なビジョンと、ヘルスケアICT社会での位置づけ
 では、このCHO構想とは具体的にどのようなものであろうか? CHO構想を推進するヘルスケア・ニューフロンティア推進局の佐久間信哉氏が説明した。

 同氏は、まずヘルスケア・ニューフロンティア構想について「最先端医療技術と未病を治すという2本柱によって、人々のライフスタイルを見直し、結果的に健康寿命を延伸させ、新産業市場を創出していくものだ。本構想は、特に未病を治す概念を取り入れた点が大きな特徴だ。県民だけでなく、ヘルスケア提供者や産業界に新たな価値をつくり、納得して参加してもらうことが大事だ」(佐久間氏)と語った。

 未病は、健康から病気へと変化する過程における過渡期の概念だが、これを使って社会システムを変革することは容易なことではない。従来の疾病予防医療のように、すでに社会システムとして信任されているものではないからだ。「想定される社会システムのビジョンを念頭に置きながら、要素技術を開発するためにモデル事業やプロジェクトを立ち上げて社会に実装したい」(佐久間氏)。

 そして、この社会システムとして、企業内で健康価値に基づいたマネジメント(健康経営)を行う施策が、今回のCHO構想なのだ。具体的には、企業が組織内に「CHO」を設け、従業員や家族の健康づくりを理念に取り入れながら、健康管理を進めていく。「CHO構想は、ヘルスケアICT社会を前提にしている。健康経営の普及をベースに、企業と保険者の連携によりヘルスケアを実現し、健康・安全・幸福な社会を構築していくことが、CHO構想の主なビジョンだ」(佐久間氏)。

■「まず隗より始めよ」。神奈川県庁のCHO・健康経営の取り組み
 では、なぜいまCHO・健康経営が必要なのか? その必然性について、神奈川県知事補佐の根本昌彦氏が説いた。

 「個人の健康満足度を高めながら、労働生産性を向上し、コスト削減効果を生み出せる。この3本のベクトルをプラス方向にもっていくことがポイントだ。その際に健康経営を企業戦略に取り入れ、部門間調整を行って、全組織にわたり全体最適化する必要がある。そこで強いリーダーシップを発揮するCHO職が求められる」(根本氏)。

 CHOは、個人の健康に関してマネジメントし、健康増進と仕事で“やる気”を出させる仕組みを考える役割を担う。「健康に関心がある人は自発的に健康に注意するが、意識が低い人は健康に無頓着だ。そこで健康情報の見える化によって、自身の実態を把握することで危機意識をもってもらう。またインセンティブを取り入れ、健康への取り組みを持続させ、三日坊主を防止していく」(根本氏)。

 神奈川県では「まず隗より始めよ」ということで、黒岩知事がCHOになり、職員健康推進本部を立ち上げた。県庁職員に1万2000台の歩数計を配布したり、マイ健康ポータルを開設し、検診データの見える化や糖尿病シミュレーションも用意した。またバーチャルウォーキングラリーの実施や、決められた歩数を達成すると健康ポイントが付与されるなど、意欲を持続させる仕組みづくりを進めている。

 「いま職員の半数が参加するようになったが、まだ半数は参加していない。しかし健康増進の押しつけはいけない。健康経営が実現できたかどうか、まだ見えない部分もあるからだ。環境改善も同時に進めていかなければならない。昨年まで省エネのために可能な限り冷暖房を使わない方針だったが、逆に職員の健康や生産性を損なうため、今年から改善を行った。過剰な打ち合わせも止め、工数管理をしっかりやる。そういった改革を行ったうえで、健康経営を進めていく」(根本氏)。

 神奈川県庁では、さらに健康経営を加速していく方針だ。見える化についても、もっと多くの機器を取り入れ、個人やチームの健康管理を図る。その一方で組織としての健康経営の意識を高めていくそうだ。

 続いて、ヘルスケア・ニューフロンティア推進局の坂本豪朗氏が、本年度の活動計画などについて紹介した。昨年度はCHO構想を広く浸透させるためにコンソーシアムを設立したが、3つの大きな課題が残った。「まず健康経営の課題の具体像が明確でなかったこと。また企業によって多くの試みがなされたが、企業間で取り組みのバラつきがあった。さらに企業側とヘルスケアサービス提供側でのミスマッチが生じ、市場成立の要件が明らかにならなかった点が挙げられる」(坂本氏)

 今年度は昨年度の課題を踏まえ、ベストプラクティスの実証と積極的なプロモーションにより、さらにCHO構想の普及を図る方向だ。「企業ヒアリングなどを通じ、具体的なニーズを掘り起こしていく。中核となるコンソーシアムが、CHO構想を導入する企業に公募をかけ、未病産業のコンサルティングやマッチング、効果の見える化、ベストプラクティスの実証を行う。これから未病サミットなど4回のイベントを通じ、神奈川県と連携するメリットについて実感できるようにしていきたい」(坂本氏)。

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《井上猛雄》

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