物流施設テナントはアクセスのよさ+雇用確保を重視 画像 物流施設テナントはアクセスのよさ+雇用確保を重視

インバウンド・地域活性

 物流拠点の適地は、さまざまな要素で評価される。事業採算に直接関わる「賃料」に続いて最近注目されるのが、施設で働く「労働者」確保の容易さだ。物流デベロッパーのトップは異口同音に、高速道路など幹線道路へのアクセスの良さ以上に「雇用確保」を重視するテナントの意識が強まっていると指摘する。東京のベッドタウンとして開発が進んだ千葉ニュータウン(NT)。NT中心部に位置する千葉県印西市内で、グッドマンジャパンが複数の大規模物流施設を段階的に整備するプロジェクト「グッドマンビジネスパーク千葉」をスタートさせた。延べ約12万平方メートル規模の第1期施設(イースト)が昨年12月に着工。16年3月の竣工を予定している。全体完成時の資産総額は1000億円を超える見通しだ。地内のアメニティーゾーンにはカフェやレストラン、店舗、託児所などを設け、緑地や公開広場など憩いの空間も創出。トラックドライバーや従業員用の宿泊施設を併設し、最寄り駅への循環バスも運行する。労働力不足が深刻化する中、雇用環境に重点を置いて施設の付加価値を高める。同社のポール・マクギャリー社長兼CEO(最高経営責任者)は「人手の確保が難しいエリアの物流施設はリーシングが困難になるリスクが高い。住宅街に近く、特に女性に働きたいと思わせる魅力ある施設と快適な就労空間を提供することが重要だ」と強調する。
 物流施設の開発では、ロケーションの評価とテナントニーズのリサーチ能力が問われる。同じ印西市内で今年1月、延べ約13万平方メートル規模のマルチテナント型物流施設の建設工事に着手したプロロジス。山田御酒社長は「交通の利便性の前に今は雇用が一番。人手を何人どこから確保するか、自転車や最寄りの公共交通機関を使ってどの程度の時間がかかるかなど、事前に綿密な調査を行う」と話す。顧客サービス向上の一環で、GLPは物流用品の中古売買仲介会社と業務提携し、物流機器の買い取り・販売サービスを4月に開始した。GLPが運営する物流施設のテナント企業は特別価格で購入できる。中古品の再利用によるコスト削減のほか、環境配慮でテナントの企業価値を高める狙いもある。新サービスは、顧客アンケートの結果を踏まえて導入した。帖佐義之社長は「より質の高いサービスを提供し、物流業務の効率化に多角的に貢献する。産業界では労働力不足で機械化やロボット化が本格的に進む。物流施設も新機能・要素が後から加わっても対応できる施設づくりを進める」と意気込みを見せる。
 物流不動産開発の兼業事業者らは、グループ力を前面に出しながらサービスの向上に取り組む。各社は「グループ2万社のネットワークを駆使し、相手の顔の見える取引を心掛ける」(オリックス)、「野村総合研究所と協力しながら業務の効率化・合理化に関する荷主向け講演会を開く」(野村不動産)、「総合デベロッパーとしての多様なチャネル、リレーションはリーシングや物流以外の事業機会の獲得にも有効」(三井不動産)とそれぞれ差別化戦略を描く。競争が激しくなる中、テナントニーズへの対応強化はデベロッパー各社に等しく求められる。ハードだけでなく、ソフト・サービスの充実に向け、グループ連携や他社との業務提携といった動きも今後活発化しそうだ。(編集部「物流不動産」取材班)

拡大市場-物流デベロッパーの戦略・下/「雇用確保」重視し適地選定

《日刊建設工業新聞》

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