注目集める緑色蛍光シルク……養蚕復興に新たな可能性 画像 注目集める緑色蛍光シルク……養蚕復興に新たな可能性

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 緑色に光るシルクを作る遺伝子組み換え蚕が、農家で生産できるようになるまであと一歩のところに研究が進んでいる。遺伝子組み換え蚕を飼育するには飼育施設の隔離状態などで法的な規制があるが、群馬県蚕糸技術センターは今月、農家の養蚕施設で飼育することを前提にした飼育実験を開始。環境への問題がないかどうかを調べる。順調にいけば、再来年にも、農家が通常の養蚕施設で飼育できる。光るシルクで日本の養蚕業の再起をと、養蚕農家は期待する。 

 今年5月、イタリアの高級ブランド、グッチの東京・新宿店で、緑色蛍光シルクを使ったドレスの展示があった。テーマは「未来のファッション」。緑色蛍光シルクは、自然光の下だと、うっすらとした緑色だが、発光ダイオード(LED)の青い照明を当て、黄色のフィルムの付いた特殊な眼鏡を掛けて見ると、鮮やかな緑色の蛍光を発して見える。

 グッチ広報によると25日間の展示中、幅広い層の9000人以上が来場、関心の高さを見せた。緑色蛍光シルクを使ったウエディングドレスを有名デザイナーが試作するなど、ファッション業界からも新しい素材として注目される。開発した農業生物資源研究所には「使ってみたい」という要望も寄せられているが、実用化するには、農家による生産が不可欠だ。

 緑色蛍光シルクを作る蚕には、クラゲの遺伝子が組み込まれている。遺伝子組み換え生物を飼育するには外部に流出させないための法律の規制があり、蚕も同じ。

 既に実用化されている医薬品原料を生産する遺伝子組み換え蚕は、JA前橋市管内の農家が飼育しているが、国の承認を受けた施設を利用。窓や排水口、空気口などは全て網で覆うなど蚕が外界に流出しないよう制限し、作業者も専用の服に着替える。飼料も全て人工飼料だ。

 緑色蛍光シルクには新たな隔離施設を建てるなどのコストは掛けられないので、農家の施設をそのまま使って飼育できるようにする。群馬県蚕糸技術センターが今月から始める飼育実験は、そのためのデータを集める。

 農家の通常の飼育環境を想定し、隔離したプレハブ蚕室とパイプハウス蚕室での2カ所で飼育。品質の安定性や蚕の生育・行動特性、環境への影響評価などを調べる。実験には、実際に県内の養蚕農家も数人が参加し、技術を習得する。

 今年度の飼育実験が順調に進みスムーズに国の承認が得られれば、早ければ2年後に農家で飼育が始まる可能性も出てきた。
日本農業新聞

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