日建連会員企業45社の収益性改善……2014年度決算分析 画像 日建連会員企業45社の収益性改善……2014年度決算分析

マネジメント

 ゼネコンの収益が改善傾向にあることが、日本建設業連合会(日建連)が3月期決算の上場会社など会員企業45社を対象に行った14年度決算状況調査であらためて浮き彫りになった。45社合計で見ると、売上高は前年度比5・8%増の11兆9555億円。本業のもうけに直結する完成工事総利益(粗利益)は過去5年で最高となる22・6%増の7658億円に回復。工事採算を示す粗利益率も2年連続の上昇となった。16年3月期も増収、営業増益を見込む社が目立っている。
 この調査は毎年度実施している。14年4月~15年3月に決算を迎えた会員企業のうち、売り上げ規模などが大きい45社(単体)の損益計算書と貸借対照表の基本項目をまとめた。決算期が3月以外の4社や非上場2社も含まれ、増減率は合計値ベースで算出。全会員140社の調査を7月中に出す。項目別に見ていくと、14年度は13年度補正予算の繰り越しが加わった公共投資と、景気回復に伴う企業の設備投資がともに増加。多くの企業が期初から豊富な手持ち工事を抱え、期中に受注した工事の売り上げ計上も進んで売上高が伸びた。11兆円台は2年連続となる。売上高のうち完成工事高は6・6%増の11兆4204億円で、10年度(46社集計=9兆5075億円)に比べ約2兆円増えた。45社のうち34社が増収。うち9社は10%以上の増収となった。3月期決算企業の中には、連結ベースの売上高が過去最高を更新したところもある。
 粗利益率は6・7%と前年度から0・9ポイント上昇した。過去に受注した不採算工事の影響が薄れ、発注工事が豊富にある中で採算重視の選別受注を徹底している状況がうかがえる。多くの企業が「適正利益や施工能力を勘案した受注」(大手ゼネコン経営企画部門の担当者)を強く意識しているようだ。ただ東日本大震災の発生前後に受注した建築工事の中には、その後の資材費や労務費の高騰で採算が悪化した工事があり、その影響を引きずった企業も複数ある。海外の大型工事の採算が著しく悪化した企業もあった。粗利益率の分布状況を見ると、10%以上が11社(前年度7社)、4%以上10%未満が33社(37社)で、4%未満は1社(1社)にとどまった。45社の粗利益率の単純平均は8・5%(7・2%)に上昇した。不採算工事の損失を15年3月期で処理し終えた企業もあり、16年3月期には粗利益率はさらに回復するとの見方が多い。粗利益が大幅に増加したことにより、営業利益は67・0%増の3464億円に達し、売上高営業利益率は2・9%(1・8%)に上昇した。売上高営業利益率が4%以上の企業は20社(10社)あり、半数を超す企業が3%以上となっている。
 各社とも、比較的好採算の手持ち工事を多く抱え、その消化を優先している。無理に受注を増やしたりする必要はなく、その余裕もないのが現状とみられる。ただ、高騰した労務費や資材費で建設コストは高止まりしており、採算を維持しながらの手持ち工事の効率的な消化が求められる。経常利益は、大幅に増えた営業利益に受取配当金が加わるとともに、低金利を背景に支払利息が減少するなど金融収支が改善したことで67・9%増の4178億円、売上高経常利益率の単純平均は4・3%(2・9%)に高まった。純利益は51・3%増の2740億円、売上高純利益率の単純平均は3・2%(2・2%)に上昇した。
 売上高純利益率の分布は、▽4%以上=12社(7社)▽3~4%未満=7社(4社)▽2~3%未満=13社(6社)▽1~2%未満=11社(13社)▽0~1%未満=2社(15社)―となっている。有利子負債残高は1兆8337億円と5・3%減った。10年度(46社)と比較すると約5000億円の削減となっている。内部留保も積み上がったことで、自己資本は16・9%増の3兆8618億円、自己資本比率は31・1%(28・5%)に上昇し、「優良企業」の目安の一つとされる30%台に乗った。建設需要が冷え込んでいた2000年代前半は、自己資本が2兆円台、自己資本比率は10%台に低迷していた。工事量の増加に伴って企業活動が活発化し、総資本が膨らんでいる状況下での有利子負債の減少と自己資本比率の上昇は、各社の投資余力の拡大につながる。一方で、投資家への増配や下請代金の引き上げなども一層求められる。外部環境への対応と、自社の将来への投資。利益をどう振り分けるのか、各社の経営判断が注目される。

日建連/会員45社の14年度決算分析/収益性改善がより鮮明に

《日刊建設工業新聞》

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