東京・多摩、五輪準備を加速 地域資源生かし「おもてなし」 画像 東京・多摩、五輪準備を加速 地域資源生かし「おもてなし」

インバウンド・地域活性

 東京・多摩地区の自治体が2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、準備に本腰を入れ始めた。各自治体は観光環境の整備やスポーツ振興による機運醸成など、さまざまなメニューをそろえる。今月末で五輪開催まで5年となる。15年度をオリンピック・パラリンピックムーブメント醸成の初年度と位置づけ、事業展開を加速する。

 高尾山や御岳山などの観光地を持つ八王子市と青梅市。両市は観光振興に力を入れる。八王子市は国や東京都と連携して、情報通信研究機構の多言語音声翻訳アプリケーション(応用ソフト)「VoiceTra4U」を搭載したタブレット端末(携帯型情報端末)を観光案内施設に導入した。

 17言語を音声入力できるアプリで、さまざまな国から訪れる外国人旅行者に対応する。また、杏林大学(東京都三鷹市)の学生と連携して外国人向け観光マップを15年度中に作成する。八王子市都市戦略課は「最終的にはスマートフォン向けアプリにしたい」と話す。

 青梅市は無料Wi-Fi(ワイファイ)に接続できる通信環境の整備やクレジットカード端末設置店舗の普及などを行う。機器と設置費の全額を補助。今年度、無料Wi-Fiを観光・商業施設約125店舗などにクレジットカード端末は市内50店舗に整備する。

 一方、観光名所が少ない自治体はスポーツ振興によるムーブメント事業や事前キャンプ地招致に力点を置く。6月に国際オリンピック委員会(IOC)理事会で、バドミントンと7人制ラグビーの競技会場に了承された施設が立地する調布市。同市は小中学生向けのバレーボール大会を12月に開催するほか、16年度にはバドミントン大会も検討する。

 また味の素スタジアム(調布市)に隣接する三鷹市や府中市との連携も視野に入れる。調布市スポーツ振興課は「調布市民駅伝大会などの事業を一緒に行い、まずは近隣市で機運醸成を図っていきたい」と意気込む。

 立川市と町田市は事前キャンプ地の招致を本格化。立川市はバスケットや陸上、自転車競技といった13年の東京国体で行った種目を対象に招致する。今年度に練習施設や宿泊施設などの概要をまとめた冊子の作成や、東京女子体育大学と連携したイベントの開催などを予定。

 町田市は今年度「キャンプ地招致推進市民会議」(仮称)を設置して招致の議論を始める。町田市スポーツ振興課は「どのような“おもてなし”ができるかを市民目線で検討する」と話す。

 16年8月にはリオデジャネイロ五輪が開催される。ある自治体の担当者は「そろそろ機運を高めていかないと20年大会に間に合わない」と強調する。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会で専門委員を勤めるアースボイスプロジェクト(神奈川県鎌倉市)の榎田竜路代表は「ムーブメント醸成には各地域の“レガシー(遺産)”の掘り起こしを行い、それを基にした事業展開が重要となる」と指摘する。各地域の強みを生かした事業を実行できるかが機運醸成のカギとなりそうだ。
尾内淳憲

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