[特Aをねらえ! 良食味米新事情] 14年産14銘柄 西日本の躍進目立つ 画像 [特Aをねらえ! 良食味米新事情] 14年産14銘柄 西日本の躍進目立つ

インバウンド・地域活性

 良食味米産地の勢力図が書き換えられようとしている。日本穀物検定協会(穀検)が実施する「米の食味ランキング」で、最高位「特A」を獲得する産地銘柄米が、近年増加傾向だ。良食味米のイメージが根強い東北・北陸に、北海道や西日本の産地が割って入り、「特A」の常連となりつつある。米離れが深刻化する中、「おいしい米」作りをめぐる生産や育種の動向を探った。

 東京都墨田区の住宅街の一角にある米店「亀太商店」の店内には、全国から集めた約40種類の銘柄米が並ぶ。量販店との差別化を図るため、珍しい銘柄をそろえる店内には、東北産や北陸産の定番の米袋が陳列される中、九州産を中心とした西日本産米コーナーを、2008年ごろから設けるようにした。

 西日本産米の独特の粘りを店が評価し、20年以上扱ってきたが、高温耐性品種が続々と登場したことで、同コーナーを設置した。さらに近年は、穀検の「米の食味ランキング」で特Aを獲得する西日本の産地が増えたことで、西日本産の銘柄米に注目が集まっているという。

 同店の市野澤利明副代表は新しい銘柄米を中心に仕入れているが「20、30代の主婦を中心にワインを買うような感覚で、新しい銘柄を買っていく顧客が現れた」と、消費者の購買動向の変化を受け止める。

 穀検が発表した14年産米の食味ランキングで、最高位の「特A」は42産地品種銘柄で過去最多となった。北海道が育成した炊飯米の粘りが強い低アミロース品種「ゆめぴりか」や「ななつぼし」、佐賀県の「さがびより」、熊本県の「森のくまさん」など、特に10年ごろから特Aの常連に名を連ねるようになった銘柄米が増えてきた。

 14年産米で特Aを取得した42銘柄のうち、3分の1を西日本の産地が占めた。熊本県・城北「ヒノヒカリ」は08年産から7年連続で特Aになった。香川県の新品種「おいでまい」は13年産から2年連続で取得し、鹿児島県の新品種「あきほなみ」も入ってきた。

 10年産の西日本産米の特A、または、Aの取得割合は4割だったが、14年産に出品された約60の銘柄のうち7割で特A、Aを取得。東日本産の銘柄と同じ取得割合だった。評価が高まっている。

 穀検は「西日本産米は、高温耐性品種の栽培や、栽培技術の向上で、上位等級を取りやすくなっている」と説明する。

 良食味で高温耐性を持つ水稲品種としては、農研機構・九州沖縄農業研究センターが育成した高温耐性品種「にこまる」を、まず長崎県が他県に先駆け、06年から本格的に生産を開始した。福岡や佐賀、熊本、鹿児島、香川などでも県育成の高温耐性品種の導入が進んでいる。

 良食味米を作るために必要な、夏場の高温障害の対策技術も普及してきた。今年初めて「ヒノヒカリ」で特Aを取得した愛媛県内で水稲の作付面積が最も多いJA周桑では、土づくりや遅植え、穂肥の施用などの高温対策を徹底している。2000人規模の米麦部会の部会長を務める戸田義男さん(71)は「基本技術の徹底に加え、昨年は天候も味方した」と振り返る。

 西日本に良食味米生産の機運が広まる一方、東北や北陸の米どころでも手をこまぬいているわけではない。新たな良食味品種の育成が進む。

 青森県では、穀検に参考品種として出品して今年、特Aを取得した新品種「青天の霹靂(へきれき)」で、県産米全体の評価向上を目指す。新潟県では、晩生の新品種の育成が最終段階に入った。山形「つや姫」や北海道「ゆめぴりか」がしのぎを削る、高価格帯の市場に参入する計画だ。

・ことば 特A
 日本穀物検定協会が実施する米の食味ランキングで、5段階評価の最上位。基準米とした複数産地ブレンドの「コシヒカリ」と比べ、「特に良好なもの」。良好なものは「A」、同等が「A´」、やや劣るが「B」、劣るが「B´」としている。炊飯米の外観と香り、味、粘り、硬さなどを比較する。
《日本農業新聞》

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