流動食市場は頭打ち、在宅・施設用「やわらか」食が伸びる――高齢者向け食品市場 画像 流動食市場は頭打ち、在宅・施設用「やわらか」食が伸びる――高齢者向け食品市場

制度・ビジネスチャンス

 富士経済が高齢者向けの食市場の調査報告を発表した。2020年に国内の高齢者向け食品市場は2014年比28.1%増の1693億円規模になると予測している。

 高齢者向けの食品市場は、高齢者の増加などを背景に需要が高まっている。4月に発表された矢野経済研究所の業務用食品市場調査でも、施設用給食市場を牽引する要素としてピックアップされている。今回の富士経済の調査では、やわらか食や流動食をはじめとした高齢者向け食品のほか、高齢者向け食品宅配サービス、高齢者向け施設への給食などを対象に掘り下げている。

 2014年のメーカー出荷ベースでの高齢者向け食品市場規模は1322億円。もっとも多いのは流動食市場で、9割が病院や高齢者向けの出荷だ。だが、この市場はすでに価格競争が激化するレッドオーシャン。流動食を胃に流し込むための胃ろう手術自体も、2014年に診療報酬が大幅に引き下げられ、安易な施術に歯止めをかける動きがあり、市場の伸びは鈍化傾向だ。

 一方で伸長が期待されるのは在宅用・施設用のやわらか食市場。在宅用は薬局などでの店頭販売チャネルも増加しており、2015年には34億円市場が見込まれる。在宅介護の増加見込みもあり、今後さらに伸張する市場と予測されている。また、改正介護保険法により、介護報酬の引き下げや入所条件引き上げがあった施設市場でも、全体的なコスト削減のなかで調理の簡便化を図れるやわらか食は導入が進んでいる。冷凍ムース食やゼリー食などがその中心だ。

 このほか、栄養補給食、熱中症対策用の経口水分補給食、在宅向けで伸びるとろみ調整食品、施設向けに開発された冷凍骨なし魚といった食品が注目市場として挙げられている。全体としては市場は伸張傾向で、2020年には1693億円市場に達すると富士経済では予測している。

 高齢者向け食品宅配サービスは主に施設向けが好調。在宅向けはネットスーパーなどのチャネル増加を受けて鈍化しているものの、コスト削減を進める施設での採用が進み、2014年の小売ベースで6241億円市場となっている。2020年には15%増の7178億円市場となる予想だ。

 宅配サービスと市場の奪い合いが懸念される施設向け給食サービスは、病院給食などが病院数減少を受けて苦戦しているものの、増加する有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅市場で拡大。2014年は受託ベースで1兆224億円市場で、2020年には5.9%増の1兆833億円市場に拡大すると予想されている。
《こばやしあきら》

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