プロから週末クリエイターまで、異なるスタンスのものづくりを支援する「広島ものづくりジム」 画像 プロから週末クリエイターまで、異なるスタンスのものづくりを支援する「広島ものづくりジム」

インバウンド・地域活性

「ニートやひきこもりと呼ばれる人たちは、世界に通用する可能性を秘めていると思うんです」

広島市で行われた「広島の楽しい100人」の登壇者である、「広島ものづくりジム」代表の織田健司氏は、そう観客に語りかけた。

織田健司氏は、前職株式会社コンパイル時代には『ぷよぷよ』『魔導物語』などを開発部プランナーリーダーとして手がけ、現在も第一線で活躍しているクリエイター。ライトノベル創作のブログランキングでは常に5位以内、手がけた作品もラノベ、ゲームなど多岐にわたる。その織田氏が、2010年にサブカルチャーのものづくりを教えるために立ち上げたのが「広島ものづくりジム」だ。

「今は誰もがクリエイターになれる時代。週末クリエイターもたくさんいるほど、創作へのいろいろなスタンスが可能になっている。だからそれを集団でやれば、総合力でより良いものが作れる可能性がある」

「広島ものづくりジム」の実績がこの言葉を立証している。中国新聞で連載中の400字小説や、広島の各地域を特産品とともに擬人化して紹介する『広島女学園 ひろがく!』のような地域性の高いものから、最近ネット上でも話題を呼んだバンダイナムコオンラインとセガネットワークスがタッグを組んだスマホ・アニメーションRPG『ザクセスヘブン』のような大作にいたるまで、「ものジム」は次々と作品を産み出し続けている。

織田氏はこう続ける。「ニートやひきこもりの人たちは社会的に生産性がないと思われている。創作は自分と向き合い、いかに自己に埋没するかが鍵。彼らは日ごろから誰よりも自分と向き合っているからこそ、トラウマと戦いそれを克服できれば表現者として変貌する可能性がある。そうすれば社会的な生産者へと変わることができる」

織田氏は、クリエイターというのは孤独で危うい職業であると言う。それまで人気があったとしても、いつそっぽを向かれるかわからない。その孤独感を、「広島ものづくりジム」で集うことで、新たな創作意欲へと変えていく。塾生の最高齢は70歳の女性。出産した塾生が赤ちゃんを抱いて訪れたこともあることから、現在の塾生は「上は70歳から下は0歳まで」。年齢・性別・経歴に関係なく、さまざまな人たちが織田氏の元で生き生きと創作を学んでいる。

「広島ものづくりジム」新作のカードゲーム『ほめーる』は、70歳の塾生と40代の主婦を同じチームにしたことから産まれた、画期的な着眼点のそれまでになかったゲームである。プレイヤーが配られた「ほめカード」に従ってお互いを褒め合うことで勝敗が決まるゲームだが、親しみやすい図柄とシンプルさもあり人気が出ているという。子供の教育の現場や営業での研修など、娯楽の枠を超えて教育に生かせそうだ。

「広島ものづくりジム」ではこの春から「ゲーム工房」と「シナリオ工房」を新たに新設した。「ゲーム工房」では全国展開の販路を基盤として、パズルやカードゲームなど、お年寄りから子供まで一緒にできる娯楽としてのアナログゲームの開発を進めていくという。

また、「シナリオ工房」は「ものジム」のライティング部門として「ゲームのシナリオを書いてみたいと思う人を、一緒に活動していくことで即戦力になるまで育て、利益を得るところまで持っていきたい」と織田氏。さらに、ラノベなどの小説の分野では、素人が編集に作品の持ち込みをしたところで、編集者に見てもらえることはほとんどないことから、

「今までたくさんの作品を発表している自分の名前を使うことで、良い作品を見てもらえるようになるのではないか」

と織田氏は言う。

「例えば漫画の世界では、作家がいてアシスタントがいる、という構図が出来上がっている。それを小説でも同じようにできないか、というのが目標です」

埋もれた才能を発掘し、年齢に関係なくともに創作を楽しみ、それを実際の作品として商品化していく――織田氏率いる「広島ものづくりジム」は、たくさんの才能あるクリエイターと、たくさんの人を喜ばせる作品たちを世に送り出し続ける。

【楽しい100人 Vol.4】「広島ものづくりジム」プロのクリエイターが育てる、可能性の種

《RBB TODAY》

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