【解決!社長の悩み相談センター】第3回:うちの売上だと設備投資はどれくらいまでがOK? 画像 【解決!社長の悩み相談センター】第3回:うちの売上だと設備投資はどれくらいまでがOK?

制度・ビジネスチャンス

今回の回答者:高橋昌也 税理士・AFP(フィナンシャルプランナー)

質問:
 製造業を営んでいます。売上は5,000万円で利益が300万円ほど出ています。現在、新しい機械の導入を検討しています。金額は800万円くらいです。当社の現状だと、これくらいの設備投資は可能なのでしょうか?

回答:
 こういった設備投資に関する質問も多いのですが…
 実はここに書かれている情報だけでは判断ができない、というのが正解です。

 設備でも人材でも良いのですが、実施するか否かの検討には売上や利益の数字だけでは情報が足りません。中小零細企業の経営でもっとも重要な資金繰りについてしっかりとした検討をしなければなりません。

 例えば新しい機械を導入すると、どんな効果が期待できるのでしょうか?

・これまでかかっていた人件費や材料の無駄が削減できるので支出が毎月8万円くらい減らせる
・新しい分野に挑戦が出来るので売上が年間で150万円くらい増えそうだ

 このような現金収支に考え方を落とし込んでみると、検討がしやすくなります。800万円という支出に対してどれくらいの効果が期待できるのか? ということを資金繰りという一番切実な物差しを使って考えなければなりません。

 当然のことながら、現時点でいくらの現預金が手元にあるのか? という情報は本当に大切です。上記の例で言えば、手元に1,500万円なりの現預金があるのであれば心配も少ないでしょう。手元資金が100万円しかないのであれば、どうしたって慎重にもなります。

 また中小零細企業が何かしらの投資を行う場合、原資として借金をよく活用します。資金繰りの検討は借金の返済とも絡めて考えていきます。

・800万円のうち、500万円は借金を使おう
 返済は5年間で行い、利息と合わせると大体一年間で120万円の返済が必要になりそうだ

 300万円の手元資金が減少して、更に5年間に渡って毎月10万円くらいの支出が増加する。この情報と投資によって起こるであろう収入増、支出減とを比較するのです。プラスの効果が毎月5万円程度しか見込めないのであれば、手元のお金はどんどん減っていくことになってしまいます。


 このように、投資の判断は売上や利益からだけでなく、資金繰り・借金の活用・手元現預金とのバランスなど色々な物差しを同時に使わなければならないのです。すごく当たり前の事なのですが、実はこの検討が行われないまま実施される投資はとても多いです。

「なんとなく年数も経ったし、そろそろ車でも買い換えようかと思って…」
「取引先から新しい機械を導入しろって言われたので~…」
「自分で仕事をするのも辛いから人でも雇って仕事を分散しようかと…」

 こういった何となく行われた投資は、気が付くと会社の資金繰りを蝕んでいきます。

 もちろん、これらの数字はどこまでも仮定です。投資とは未来に対する行動です。そして人間には未来がわかりませんから全体安全な投資というものは存在しません。しかし、これから自分が行おうとしている投資によってどんな影響が起こるのか? どれくらいの期間でモトが取れそうなのか? そういうことを想像することはとても大切なことです。

 すべての投資について、上記のような発想をする必要はありません。中には「よくわからないけどここには絶対に投資をしておいた方が良い!!」という確信のもとで大成功を収めることだってよくあります。

 ただし、作業工程や事務の効率化など、比較的数字が想像しやすい投資については「資金繰りに対する影響」という分かりやすい形に落とし込んで検討することをお薦めします。

<回答者のプロフィール>
高橋昌也:税理士・AFP。神奈川県川崎市に事務所を構える。
中小零細法人や個人事業主に関する仕事に特化。 顧客との定期的な面談等を通じて、税務、経理その他経営上の課題について話し合うことをモットーとしている。 趣味はアカペラ、立廻剣術ほか。地域の非営利活動にも従事。

<悩み・相談募集>
「解決! 社長の悩み相談センター」では、全国の中小企業の経営者、小規模事業者の悩み・相談ごとを募集しております。HANJO HANJOに悩み事を相談したい社長さんは、以下から、件名に「悩み相談」と記してメッセージをお送りください。
http://hanjohanjo.jp/about/contact.html
《高橋昌也》

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