【解決!社長の悩み相談センター】第2回:社会保険料は滞納しても大丈夫? 画像 【解決!社長の悩み相談センター】第2回:社会保険料は滞納しても大丈夫?

制度・ビジネスチャンス

今回の回答者:高橋昌也 税理士・AFP(フィナンシャルプランナー)

質問:
最近、社会保険料の徴収が以前よりも厳しくなったという話をききます。実際はどうなのでしょう? そして滞納しているとどんな不都合があるのでしょうか?

回答:
 社会保険について、大前提を確認します。

  社会保険の加入は義務である

 社会保険には健康保険や年金、労働保険など色々な種類があります。そのほとんどが義務制という性格を持っています。事業の状況に応じて加入しなければならないのです(一部の例外はあります)。

  社会保険料の滞納は免除されない

 俗に自己破産と呼ばれる手続きをした場合、自分が抱えている色々な債務を整理することになります。しかし税金や社会保険料は整理の対象になりません。滞納しているものはそのまま残り、督促を受け続けることになります。そして滞納している以上、利息を取られます。利率はかなり高く、役所の滞納に対する懲罰的な姿勢が強く出ています。

 上でも紹介した通り、社会保険にはいくつかの種類があります。ここでは健康保険と年金に的を絞ってお話を進めます。

■規模が小さな個人事業主の場合
 業種にもよりますが、従業員の数が4人以下ならば国民健康保険と国民年金に加入します。従業員さんも各人で国民健康保険と国民年金に加入します。従業員の分について、雇っている人が負担すべき金額はありません。従業員はもらっているお給料の中から自分が負担すべき保険料を支払います(次に紹介する「健康保険と厚生年金」に任意で加入することも可能です)。

 国民年金の未納者が増え続けていますが、最近では役所による保険料の督促・差し押さえといった対応も増加しています。

■規模が大きな個人事業主と法人の場合
 5人以上の人を雇う個人事業主(業種により例外あり)、そして全ての法人は健康保険と厚生年金に加入する義務があります。

 健康保険と厚生年金に加入すると、雇用者は従業員と社会保険料を折半することになります。約1/2の保険料を雇用者(個人事業主・法人)が負担します。事業者負担分と従業員負担分を合計すると、国民健康保険と国民年金よりも金額が高くなることが多いです。

 以降、健康保険と厚生年金をまとめて「社会保険」といいます。

社会保険ですが、これまでは義務があるにもかかわらず加入をしていない事業者が沢山いました。特に零細法人が顕著です。家族で経営しているような法人では文句をいう社員もおらず、義務に違反をしていても問題になりづらかったのです。

■社会保険を滞納するとどうなるか
 しかしここ数年で状況が変わってきました。社会保険未加入の法人に対して管轄の年金事務所から指導が入るようになってきたのです。もちろんこれまでにも指導はあったのですが、その件数が大幅に増えてきました。加入をしない場合には懲罰的に過去分も遡って保険料を徴収するなど、かなり強硬な姿勢で対応するようになってきました。

 また大企業の意識も変わってきました。社会保険に加入していない中小零細法人には仕事を出せない、といった対応をする企業が増え続けています。特に建設業ではその傾向が顕著です。

 果たされていなかった義務が厳しくなっただけなのですが、その影響は甚大です。事業者にとっては間接的な人件費が増えることになります。多くの零細法人が社会保険加入への対応で困っているのが実情です。

■社会保険は企業力を高めるという意識改革を
 その一方、早々に社会保険加入を済ませて前向きに取り組んでいる零細法人もいます。「会社らしい会社」であることを強みに、発注元からより条件の良い仕事を受注しているのです。また新規雇用の際にも社会保険の有無によって求人率が大きく異なります。社会保険を単なる義務として捉えるのではなく、事業を発展させる強みとして活かせるような経営姿勢が求められています。

 また加入について検討する場合、まずは専門家である社会保険労務士さんに相談をしてみることを強くお薦めします。自分で適当な手続きをしてしまい、後で困ったことになるケースは少なくありません。

 マイナンバー制度の開始を控え、これから租税公課の徴収や運営はどんどん厳しくなっていきます。なるべく早くに対応をしていくことが大切です。

<回答者のプロフィール>
高橋昌也:税理士・AFP。神奈川県川崎市に事務所を構える。
中小零細法人や個人事業主に関する仕事に特化。 顧客との定期的な面談等を通じて、税務、経理その他経営上の課題について話し合うことをモットーとしている。 趣味はアカペラ、立廻剣術ほか。地域の非営利活動にも従事。

<悩み・相談募集>
「解決! 社長の悩み相談センター」では、全国の中小企業の経営者、小規模事業者の悩み・相談ごとを募集しております。HANJO HANJOに悩み事を相談したい社長さんは、以下から、件名に「悩み相談」と記してメッセージをお送りください。
http://hanjohanjo.jp/about/contact.html
《高橋昌也》

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