~社歌コン 応募社の横顔:18~農業の未来を歌で問う-千葉の農業法人

2017年2月7日
HANJO HANJOでは企業のコミュニケーションを盛り上げるものとして、社歌に注目してきました。その一環として実施したのが、企業の想いが詰まった社歌が主役の動画を募集する「中小企業 社歌コンテスト」です。ご応募いただいた社歌の背景には、従業員と関係者との交流など、さまざまなエピソードがありました。 *応募&投票期間は終了しました。たくさんのご応募、ありがとうございました。

■農業の未来を憂うメッセージソングに人材が集う

 元暴走族総長という社長の経歴を前面に押し出し、「POWER野菜」という独自ブランドを展開するなど、異色なプロモーションで注目を集める農業法人があります。千葉県富里市で小松菜を中心に栽培を行う農業生産法人ベジフルファーム。その社歌のベースはミクスチャー・ロックで、朝礼と昼休憩のときに爆音で流されます。

 なぜこのようなプロモーションのもとで社歌が生まれたのか? その背景には“良いものを作れば農協や市場が買ってくれる”という、従来の農地法を取り巻く状況へのアンチテーゼがあったと、社外取締役の長山衛さんは話しています。

「日本では農産品を自らプロモーションする農家が圧倒的に少ないんです。農業従事者の平均年齢も65歳を超え、若者が後を継ごうとしません。こうした問題を解決するには、適切なWEBスキルの投入が必要だと思いました」

 プロモーションの方向性として社長のキャラクターに注目したのも、まずは若い人に興味を持ってもらいたいという想いからでした。その効果はさっそく同社の人材募集に現れます。社歌やサイトに親近感を覚えた元ヤンキーなど、若い人材が同社の募集に応募してきたそうです。その中には、思いもよらなかった人材もいました。

「JALで元執行役員だった高橋さん、インテルで業務執行統括本部長を務めた鴨さんなど、素晴らしい経歴を持つ方から『一緒に仕事がしたい』と声をかけていただきました。見せ方こそトリッキーでしたが、そこに込められた日本の農業を憂う気持ちに共感していただけたんです」

 高橋さん、鴨さんの二人は現在、それぞれ専務取締役と顧問としてベジフルファームの経営に参加しています。スタッフにも若手がそろい、これによって挑戦的な取り組みを進めていくための地盤を作ることができたそうです。

サイトや社歌を通じて、独自ブランド「POWER野菜」をプロモーション。着メロとして販売した社歌は、およそ1万回ダウンロードされたという

「ガチムチ結構 元ヤン万歳 つまりは結局スタミナ」という歌詞に、体力勝負の農業の実態を知った上で、この道を選んでほしいという想いが込められた

■自分たちの会社でしかできないPRを考える

 ベジフルファームでは野菜の栽培にあたり、その硝酸イオン濃度を重視しています。過剰な施肥を行うと濃度があがり、小松菜などでは苦みの原因となるそうです。そのため、農地では頻繁に土壌診断を行い、その結果を量販店などにも公開しています。

 普通であれば、これを前面に打ち出したプロモーションを展開したことでしょう。ですが、長山さんはそれでは足りないと考えました。

「硝酸イオン濃度の薄い小松菜は確かに美味しいです。でも、実は消費者は小松菜に対して、そこまで味の差別化を求めていないのではないかと。そう考えた時に、ただ美味しいだけでなく、ベジフルファームでしかできない野菜がなければ、プロモーションとして弱いなと思ったんです」

 転機になったのはパンにクラシックを聴かせるという、テレビで放映されていたある工場の取り組みでした。「小松菜にメタルを聞かせたら、もしかしたら鉄分が増えたりしないだろうか?」。酒の席でふと口に出た一言に、長山さんのメタル奏者としての血が騒ぎます。

 こうして生まれたのが社歌「小松菜伐採」であり、野菜の栄養素に注目した「POWER野菜」というブランドでした。同社ではネットでの直売も行っていますが、小松菜は月に100件前後のオーダーが入る人気商品となっています。ベジフルファームの取り組み自体に関心を持つファンもでき、直接畑を見に来る人も現れました。

 日本の農業に警鐘を鳴らしたい。その想いを込めた社歌はときに従業員やファンとの絆を結び、ときにはメディアにコメンテーターとして呼ばれる機会を作っています。農家が自らをプロデュースできること、その上で歌が役割の一端を担えることを、ベジフルファームさんは自らの手で証明してみせました。

“農エキサイティング 農ライフ”のフレーズが並ぶなど、ベジフルファームのコーポレートサイトは、一見すると農業法人のものとは思えないデザインとなっている

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執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
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