ユニーク社長のロングトーク/Casa 宮地正剛さん Vol.2

2017年11月24日
激流のなかにある日本の中小企業。社長の仕事も様変わりを見せています。けれど社長は社長。重要なのはいかにリスクを負って、状況を変えていくかです。自社の意志でビジネスをおこす。アイディアの自由を守る。その姿勢が世の中を変えていきます。そんな社長の仕事に光を当てつつ、そのユニークな個性に迫ります! 第一回に登場願ったのは、家賃の保証や決済、賃貸保証などを中核事業として展開する「株式会社Casa」の宮地正剛さん。ロングトークVol.2です。

株式会社Casa 代表取締役 宮地正剛さん。一般社団法人賃貸保証機構 代表理事も務める。1972年、香川県生まれ。不動産の情報公開や賃貸サービス向上のための仕組みづくりが必要だと考えて、ITで不動産と金融を便利にしていく、家賃債務保証事業のCasaを立ち上げる

■データとITの力で不動産業を新しくする

 Casaでは「大家カフェ」「入居者カフェ」というWebサービスを展開しています。

 「大家カフェ」は不動産オーナー用のサービスで、入居者の募集や家賃管理、リフォームなどオーナーの抱えている課題をアプリで簡単に解決することができます。一方の「入居者カフェ」は入居者向けにさまざまなサービスや情報を提供するアプリです。

 Casaは保証会社として、お客様が入居する際の保証を引き受けます。保証サービスは面倒な保証人探しがなくなるなどのメリットがある一方、お客様は保証サービスの範囲にこだわっているわけではなく、もっと目に見えて分かりやすいサービスを求めています。

 そこで私が考えているのは、入居者の方の住周りの便利なサービスや優待サービスなどの入居者の生活になじむサービスの提供です。その際に強力な武器となるのが「データ」です。

不動産オーナー用のアプリによるサービス「大家カフェ」。入居者の募集や家賃管理、リフォームなどオーナーの抱えている課題を簡単に解決することができる

入居者向けにさまざまなサービスや情報を提供するアプリ「入居者カフェ」。入居者の生活になじむ内容をこころがけている

■データを蓄積・活用し、入居者向けに新たなサービスを生み出す

 Casaでは様々なデータを持っています。例えば入居者の年齢、性別、職業等の属性情報や家賃の支払履歴などです。Casaではそれらのデータを与信などに使っていますが、データにはいろいろな価値があります。データを上手に使っているのが通信教育会社だと思います。取得した情報を基に顧客ごとの年齢に沿って商材を使い分けて提供しています。

 このデータの活用は私たちも一緒で、入居者の平均契約期間や、解約周期なども分かります。引っ越しなどの住替え時には様々な消費が発生します。これらの情報を活用して、将来的にはデータベース化し、ビッグデータとして扱う。そうすることで「住み替えの時期」や「賃貸から持ち家」ということも分かるようになり、他の事業会社とのアライアンスで入居者のニーズにタイムリーに応えることが可能になります。

 保証会社は何か事故が起こらない限りお客様に関わることはありません。ほとんどのお客様は事故を起こしませんので、保証のみでは私たちの認知度が高まることもありません。お客様のニーズに応えてこそ我々の存在価値も高まり、またそのためのデータ活用というわけです。

■例えば空室問題。規制緩和の先に生まれるサービスを創造する

 提供するサービスは、入居者だけではありません。大家さんも様々な問題や課題を抱えています。一番大きな悩みが空室問題です。現状、管理会社だけに頼んでいてもなかなか成果はでません。特にご自身で管理をされている大家さんは、自ら仲介の窓口を拡げていく必要がありますが、高齢などの事情を抱えており十分な営業活動が出来ていません。

 そこで私たちが持っている全国2万店以上の代理店ネットワークを使い、大家さんに代わって仲介会社への営業支援を行っています。これを人や紙ベースでやるとコストが合わず、時代にもそぐわないのでITの力を使ってやろうというのが「大家カフェ」です。

 「大家カフェ」では、管理会社に委託していた賃貸管理がご自身で、またWEB上で管理することができます。主な機能は「入居者募集」「家賃管理」「リフォーム」の3つです。入居者募集サービスとして、Casa提携先の仲介店舗に対し空室情報の一斉配信や、家賃の集金管理サービスの「家主ダイレクト」など、大家さんの賃貸管理をパッケージでサポートします。

 今後は不動産業界においてインターネットの活用が重要なカギになります。賃貸契約の重要事項の説明もIT(オンライン)で可能になりました。今後は更なる規制緩和で契約までできるようになるでしょう。

 以前は旅行代理店の店頭で申込をしていた旅行も、今はインターネットで予約、契約が当たり前の時代です。不動産業界のネット化も同じ道を辿ると思います。こうした中でCasaは保有するデータやITを活用し、入居者と家主のマッチングビジネスの開発を進めています。

●プロフィール
宮地正剛(みやじせいごう)
1972年、香川県生まれ。2008年、レントゴー保証株式会社(現株式会社Casa)設立。2009年、一般社団法人賃貸保証機構 代表理事就任。住宅業を営む実家の影響を受けて不動産業界に興味を持ち、大学卒業後、材木業が盛んなカナダへ留学。帰国後に不動産ビジネスに携わるようになる。「ユーザー目線で見ると不動産業は不透明感が多い」市場だと感じ、不動産の情報公開や賃貸サービス向上のための仕組みづくりが必要だと考えて、ITで不動産と金融を便利にしていく、家賃債務保証事業のCasaを立ち上げる。

●関連リンク

執筆者: HANJOHANJO編集部 - HANJOHANJO編集者
日本の中小企業の皆さんにとってビジネスのヒントになる「ヒトモノコトカネ」を探し出し、日々オリジナルな視点で記事を取材、編集してお届けします。中小企業の魅力をあますところなく伝えます。

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